約 45,020 件
https://w.atwiki.jp/indexorichara/pages/2391.html
―――『拾って下さい』――― 目の前には、メイドの入ったダンボールが置かれていた。 何を言っているか分からないとは思うけど私にも訳が分からない。 「うーん…。これは新手のトラップか何かなんだろうか…」 そんな私の呟きを聞いて、目の前のメイドは明るい声で同意する。 「ハニートラップと言う奴でございますねー!ぜひぜひおいしく頂いて下さいまし!」 よく通る声だ。はきはきと聞き取りやすい口調で喋るのもメイドの性という奴だろうか。 関心すべき点ではあるのだが、ダンボールに入りながらのセリフでは何の価値も感じない。 「ある意味、斬新ではあるのかも。誰も引っかかりそうに無い辺りが」 こうやって声を掛けてしまった時点で私は罠にかかっている様な気もする。 そう考えると、私も好奇心には弱いらしい。瞳や焔に強く言えないわね、これは。 「がびーん!?あんまりな扱いでございますー!?」 私の言い様にショックを受けたのか、感嘆符を口に出しながら驚きを表明する。 口で言ってる辺りアホの子っぽい。真偽の程は未だ微妙な所だが。 「というかさ、君誰なの?」 会話が遠回りしているような気がしたので率直な意見をぶつけてみる。 というか、最初に言ったとおり罠かも知れないというのに何を暢気に話しているのやら。 「はっ!ようやく尋ねてくださいましたね!」 「…聞かない方が良かったかな」 元々元気の良かった声が更に明るさを滲ませる。 場の空気を強制的に明るくする様な妖しい効果をもった笑顔を浮かべながら 「ではでは!私の名前は、メアリと申し申します!」 とダンボールから立ち上がり、恭しく頭を垂れながら名乗った。 これは淑女としてきちんと返さねば。…淑女って言っても、焔や血晶赤とは違うからね? 「これはご丁寧に。私は四方視歩と言う。どうぞよろしく」 精一杯の慇懃な態度で名乗りを返す。うん、自分で言うのもなんだが中々うまく出来たんじゃないだろうか。 そんな事を考えつつ顔を上げてみると 「きゃー!きちんと返してくれる人は久々ですっ!メアリ、テンション上がっちゃいます!」 嬉々とした表情で手を叩いているメアリの姿がそこにはあった。 …テンション高いなぁ。目が爛々と輝いてるんだけど。そういえばこの子、私に用でもあったのかな? 「で…メアリ、ね。私に何か用?というか、何でメイド服?そしてなぜダンボール」 「あぁ、ああぁ!質問をそうも立て続けにされるとメアリ独楽ってしまいますわぁぁぁ」クルクル 両手で頬を押さえながらくるくる回るメアリ。あざとい、実にあざとい。 しかしフィギュアスケートみたいに綺麗に回るなぁ…あぁ、独楽ってしまうってそう言う。 「独楽ってしまうて。分かりにくいボケをかますんじゃありません」 「あいたっ」 字面じゃないと伝わらない上に微妙に無理矢理感が漂ってるし。 そんな私のツッコミにも満足げな頷きを返すと、嬉しそうに口を開いて 「気付いていただいて幸いでこざいますねー。ボケとツッコミの相性もばっちりでございまし!」 と、にこやかな笑顔。まぁ、それは良いとしてボケとツッコミって、それじゃまるで… 「勝手にコンビにされている…ような」 なんとも馴れ馴れしい子である。しかし、壁を感じさせない雰囲気は交換が持てるところであるし、 焔とはまた違ったテンションの高さも嫌いでは無いので、強く否定はしない。 「ええと、メイド服なのは言わずもがな私がメイドだからでありまして」 少々話が飛び気味なのと、あまりこちらの話を聞いていないのが欠点か。 この辺りは私の周りには居ないタイプの様だ。 「コンビのくだりはスルーかい?ま、いいけど。それにしても、メイド…。繚乱の子かい?」 この学園都市においてメイドといえばまず繚乱家政女学校が挙がるだろう。 しかし、彼女のメイド服はあそこの制服とは大分趣が違うようだ。まず和風だし。 「いえ、私はただの野良メイドですから!」エッヘン こちらの疑問に、無い胸を張りながら答えるメアリ。 …うん、やっぱり薄いな。何処がとは言わないけれども。 「なぜ誇らしげ…。野良?」 引っかかったのは、野良と言う単語。 どう考えてもメイドという言葉の頭につける物じゃあ無いだろうに。 「はい!ご主人様を探して彷徨うフリーのメイドです!」 なるほど。そう言う意味での野良、か。 それならばフリーと最初から言えば良い物を、とは思っても言わない。 私は空気を読める女で通しているのだ。周りからの認識的にも、能力的にも。 「ふーん…。ま、それはいいや。それよりも私に何か用かい?」 冗談を打ち切って本題に入る。私とメアリの間には現在、微妙な間合いが開いていた。 別に難しい話じゃない。初対面の相手、それも素性のよく知れない相手に警戒するのは当然だ。 それに何よりも―――この子は唯の一般人とは到底思えない。話しているときから思ってはいたが、 戦い慣れた気配がひしひしと伝わってくる。…否、気配を感じないからこそ戦い慣れているのが分かる、と言うのが正しいか。 ま、気付いたといえばそうだし、知っていたといえばそうなんだけど。 「いえ…用と言いますか、むしろこの場から今すぐ離れて頂きたいという、警告といいますか…」 警告、と来たか。ますますこの子はどこかの暗殺者とかなんじゃなかろうかと思い始めた。 こうなるとダンボールに入っていたのも奇を衒う為の策だったのかも知れない。 「警告?あー、もしかして私に奇襲をかける為にダンボールに入っていたとか?」 というか、ずっと感じている此方を包囲している複数の気配が近くなっている。 有り体に言うと完全に囲まれている。上が開いてるから逃げるのは簡単だけどさ。 「いえいえ!ダンボールに入っていたのは身を隠す為ではあるのですが、それは貴女から隠れる為ではなくてですね!」 本格的にこの子を罠に一斉に叩くとかそう言う流れな気がしてきたよ。相変わらずついてな………いや。 それにしてはメアリの様子がおかしい。辺りを探っているのは分かるけれど、この子まで周りを警戒している…? 「あー?じゃあ何で隠れる必要が……………っ!」 出来る限り平静を保ちながら会話を続けていたが、周囲から感じていた視線が殺気に変化したのを感じ急いで飛びずさる。 ―――――パァンッ!! ほぼ同時に銃声と着弾の音。しかし、その着弾場所は私の居た場所ではなく。 そう、目の前の少女が数瞬前まで立っていた場所が弾け、音を鳴らす。 (狙われていたのは私じゃなくてこの子…!?なら、さっきの警告ってのは…) 改めてメアリに目を移すと、少しの驚愕と後悔の顔。 前者は私の存外な反応の良さに対してか。そして後者はおそらく… 「出来る事なら巻き込みたく無かったのですが…」 私と言う無関係の人物を巻き込んでしまった事への後悔だろう。 巻き込みたくなかったのならもう少し早く言ってくれればよい物を。 「ならさっさと警告してくれれば良かったんだけどね!」 最も、警告されていたとしてそれに従っていたとは限らないけど。 …いや、絶対に従ってなかったね。こんな面白そうな子を放っておく道理がない。 何故追われているのか。彼女が何者なのか。疑問は尽きないが、全ては後回しだ。 まずはこの子を襲う脅威を取り除く。話はそれから。 「くっ…!とにかく、貴女は先に逃げてくださいまし!私がサポートいたし…って、居ない!?」 別に逃げたわけでは無い。ならば私が今何処に居るかと言うと――― 「上だよ、メイドさん!」 ―――驚きの表情を浮かべているメアリの真上である。文字通り、頭上に私は飛んでいた。 声を掛けるのも程ほどに、私はメアリのメイド服の襟を掴むと宙返りを終える様な感じで一度着地。 「はい!?ぐえぇっ!く、首がしまってますわー!」 一瞬、上を睨みつける。路地裏という場所の問題か、周りは雑多なビル群で囲われている。 そしてそれは好都合。地面を踏みしめ、一気に飛び上がる。 「―――――――っ!」 中途の階の窓に足を掛け、再び上昇。ビルの壁を垂直に駆け上がる。 メアリが苦しそうだが少しばかり我慢してもらうとしよう。二人分の体重でビルの上まで飛ぶのはそれなりに大変なのだ。 とか思っている内にビルの屋上に辿り着いた。後ろからは銃声が響いているが風を纏っている私に当たる訳も無いので無視だ。 「出来ればこのまま空飛んで逃げたいけど…、二人分の重さで飛ぶと途中で落ちるリスクがあるからやめとこうか。…メアリー?生きてる?」 手元で目を回している少女に目を向ける。 苦しげにしているけれど、意識もはっきりしているようだ。 「な、なんとか…。窒息死するかと思いましたよ…」 言葉は苦しげだが、ちゃんと襟と首の間に手を入れて衝撃を逃がしていたらしい。 咄嗟の判断としては上出来。なかなかに修羅場をくぐってきた事が伺える。 「ごめんごめん。咄嗟の事だったし、掴む位置までは考慮出来なかったのさ」 嘘ではない。私一人なら銃に撃たれることも無いだろうが、 もたもたしているとメアリが撃たれかねなかった。それは避けなくてはならない。 「結果的に助けられたので良いんですけど…。というか四方さん。貴女、何者ですか?」 訝しげな目を向けられる。まあ、当然の疑問だ。 通りがかりの一般人かと思ったら、この現状だ。気になるのも仕方あるまい。 「くっくっくっ。唯の通りすがりの能力者さ」 しかし今本当のことを話しても長くなるだけなので笑って誤魔化す事にした。 危機を乗り越えた後にちゃんと説明してあげるとしよう。 「胡散臭い事この上ないですね…。かなりの高位能力者とお見受けしますが、それだけでは無いのは見て分かりますよ?」 おっと、食い下がってきたか。胡散臭いとは的を射ている。私は時にモノローグですら嘘をつくからね。 中々に用心深い様で好感が持てる。こういう人材なら仲間に引き入れたい物だが… 「私は嘘つきでね。ま、素性を明かしても構わないんだけど…今は違うだろう?」 それもこれも今は相応しくない。 今はひとまず逃げ切らなければ。逃げるだけと言うのは癪だが。 「確かにゆっくり話してる場合じゃないですかね。その口ぶりだと協力して下さると見ても?」 逃げるにせよそうでないにせよ、情報が少ない。 とりあえず彼女と行動してから決めるとしようかな。 「袖振り合うも他生の縁、さ。短い間かも知れないがよろしく頼むよ、篠崎メアリさん?」 名前を呼んで、笑いかける。こういう時こそ笑顔を忘れず、楽しむ心が万能の力となるのだ。 おっとそういえば………すこしボロが出ちゃったかな? こうして出会った二人の少女。片や一つの組織を率いる黒猫の少女。片やまだ見ぬ主人を求めて彷徨う黒蜘蛛のメイド。 この二人の出会いは何を齎すのか。それを知る物はまだ居ない――― とある猫娘達の日常 5話 とある猫と蜘蛛の邂逅***** 話は飛んで―――という訳でもなく。私達は未だに逃走を決め込んでいた。 現在は路地裏区域の中心地あたりで包囲網を突破するべく前進を続けていた。 「面倒っていうか、数が多過ぎ…。これ以上受身の姿勢で居てもジリ貧だよ?もう正面突破で行かないかい?」 現在私達は敵の襲撃を受けては撃退し、身を隠しながら少しずつ包囲網の中心から離れている状況だった。 しかし、敵の数が多い上に襲撃者を撃退しようとすると他の敵の援護が入り、始末しきれない。 そのせいで追っ手の人数を減らせていないという事実があった。 それに痺れを切らした私は、援護が入る前に強行突破してしまえば良いと、メアリの返事も聞かずに壁から身を出した。 あまりに迂闊と思える行動にメアリは慌てて止めに入るが間に合わず、二人とも影から身を晒す事になってしまった。 「ちょ、ちょっと!相手は拳銃とか持ってるんですよ!?無防備に飛び出してどうするんですか!」 非難の声をあげている間に、前方の影から男が飛び出してくる。 手には拳銃を握っているのが見て取れたが、私は動こうとしない。 (死にたいんですかこの人!と、とにかく私だけでも避けないと…!) 手に握った大きな針を強く握り、腕を強く引いた。 ビィンッ!という鋭い音が響くと共にメアリの姿が真横にずれ、高速でスライドしていく。 (へぇ…面白い事するね、あの子) 興味深い動きをするメアリを横目に見ながら薄く笑みを浮かべる私だが その前方では既に敵が銃を構え終えていた。 「なめやがって…!ここで死ねっ!」カチャッ 銃声が響いた。照準を合わせてから一切の躊躇もタイムラグも無く、確実に相手を殺せる位置への発砲。 その銃弾は四方の額へと飛びその頭を撃ちぬく―――筈だった。 「……………あ?」 「え…?」 その銃弾は四方を捉えることなく、背後の壁へと突き刺さった。 この近距離にも関わらず、銃弾は不自然に逸れ、四方を避けるかの様にカーブしたのだ。 「拳銃程度のおもちゃじゃあ、私はどうにも出来ないよ。私を撃ち抜きたいならアンチマテリアルライフルでも持ってこないと」 「……………く、くそがっ!」カチャッ 再び標準を四方に合わせ、引き金に指を掛ける男だったが、彼が銃を構えた時点で既に四方は視界から消え去っていた。 男はその姿を再び捉えんと首をひねり、索敵を行うが彼女の姿は見当たらない。 「き、消えた!?どこに行きやがった!」 四方が男の視界から消えた一瞬。メアリは彼女の行方を辛うじて目で捉えていた。 (………あの一瞬で、敵の足元に移動した!?一体どうやって!?) そう、四方は男の視界から消えると同時に男の足元へと滑り込んでいた。 種は割りと単純だ。能力を使って微弱な風を敵の目元に飛ばし、牽制する。 護る物のない眼球に微弱とは言え風を当てられる事で、人の体はは眼球を護るために反射的に目を閉じる。 ほぼ一瞬とは言えその隙は重大だ。風を操る事によるブーストを掛けずとも、身体能力だけで足元に滑り込む事は容易だった。 「下だよ、襲撃者さん」 猫のように体のバネを活かした姿勢で着地した四方は、攻撃態勢をとりながら声を掛けた。 下からの声に気付いた敵が慌てて下を見ると、既に足元にまで肉薄した敵の姿がそこにはあった。 「……………っ!」 「今更気付いても、遅いっ!」 言うと同時に、その蹴りが男の顎へと突き刺さった。 男の体が宙に浮く。しかし、まだ四方の攻撃は止まらない。 「まだまだぁ!」 浮いた男の体を右手で掴み、浮こうとする男の体を無理やり地面へ引きずり落とす。 ついで迫るのは右足。男の腹を踏み潰し、勢い余って再び男の体がにわかに浮く。 「これでっ、終わりっ!」 踏み込んだ右足を強く蹴り、浮いた男の体を追いかけて四方が飛ぶ。 勢いそのままに、空中で捻った胴体から繰り出された回し蹴りが男の背中にクリーンヒットした。 派手に吹き飛ぶ男。コンクリの壁にぶつかった所でようやく止まり、ぐったりとその場に伏せている。 ふっ…決まった、と。ニヒルに笑うが誰もリアクションしてくれないので寂しい。 「ふぅ。うまくいった。久しぶりのコンビネーションだったけど、割とかっこよく決まったかな?」 汗を拭う仕草をしてみた。 正直オーバーキルも良いところだが、他の仲間も見ているだろうから威嚇の意味も込めて、だ。 「いや、格闘ゲームじゃないんですから…。っていうか、なんですか今の動き!?」 後ろから声がかかる。しかし、ますます彼女を引き入れたくなった。 ツッコミ属性が増えるのは良いことだ。芙由子の負担が減りそうだからね。 「荒事には慣れてるからね。運が良かったって言っただろう?」 ここまでする事はあんまりないけどね、という言葉は飲み込んでおく。 言っても仕方の無いことだし、別に勘違いされて損があるわけでもない。 「あきらかに人間やめた動きだったんですけど…。で、でも確かに運は良かったかもしれませんね!ポジティブに行きましょう!」 多少自棄になりながらも笑顔を浮かべるメアリ。 良いことだ。笑顔はどんな状況でも重要なものである。 「そうそう。メアリも戦えるんだろう?次、もう来たみたいだよ」 守らなくて良いのならやれる事は増える。 それどころかメアリ自体は相当な実力者だ。現に、今も――― 「ああ、はい。大丈夫です。もう終わってますから」 既に敵に反応し、罠を仕掛けていたようだ。 抜け目無く、行動が早く、躊躇が無い。非の打ち所の無い手際だ。 「……………っ!?」ギシッ 不可視の罠に阻まれ、身動きの取れない敵が目に入る。 背後から襲いかかろうとしていたのだろう。もちろん、バレバレだが。 「狙われやすい背後に罠を仕掛けるのは当然でしょう?では、来世では学習してきてくださいねっ!」グイッ 手を振り下ろすと、キリキリという音がすると同時に、敵のうめき声が漏れた。 「グフッ……………」ガクッ 程なくして気を失ったのか、がくっと力を失った。 目を凝らすとそこには薄く光るいくつかの線。あれは――― 「おお、すごいすごい。それ、ワイヤー?随分おしゃれな武器を使うじゃないか」 張り巡らされたワイヤー、それが彼女の武器の様だ。 さっきの不思議な動きも、ワイヤーを使った高速機動の類だったのだろう。 「メイドですからね。お裁縫セットは必需品なんですよ」 ふふん、と不適に笑う。そんな彼女の様子を眺めながら、笑みを深くする。 これは実に頼もしい。面白い情報も入った事だし、これならいっそ――――― 「えーと、どうかしました?」 不敵に笑う私を訝しんで私を見るメアリ。 なんでもないよ、と笑って誤魔化して歩みを進める。 逃げるばかりでは性には合わない。ならする事は一つだろう。 くつくつと笑う私に、不思議そうな目を向けるメアリを促して、その場を離れた。 ~~~~~侵入から0分~~~~~ ここはスキルアウトの根城、俺たちのアジトだ。 「で?一体これは何の騒ぎなんだよ?」 一人の男が眉を潜めながら、尋ねる。 すると首を向けた方向から、一人の男がぬっと顔を出した。 「近くをうろついてた奴から報告があった。あのメイドがこのアジトの近くにいるらしい」 その男は所謂、参謀と呼ばれる類の人間だった。 例の如くもう一人の男は、参謀を従えたスキルアウト集団の頭、といった風情だ。 「あいつが!?ここを狙ってきたのか!?」 参謀の言葉を受けて、眉間に皺を寄せる。 つい声が荒くなるのを自覚するが、仕方がない。やつへの借りはそれほど大きいのだ。 「いや、たまたまウチのメンバーとかち合っただけの様だ。今、包囲して追い込んでいる」 こちらが優勢である事を知り、笑みを浮かべる頭。 拳と手のひらを打ち合わせ、気合を表す。 「はっ!ようやく借りを返せるって訳だ」 あのメイドには痛い目に遭わされたのだ。 報復の絶好のチャンスとあっては気合も自然と入る。 「通りがかった一般人を二人ほど巻き込んでいるらしいが…まぁ、そのくらいなら許容範囲か」 こんな所に通りがかりの一般人が居る事は疑問ではあるが… 参謀がそういうのなら、少なくともメイドの仲間では無いという事は確かなのだろう。 「うっし!捕まえたら俺の前まで連れてこさせろよ!」 命令する。あの女には直々に借りを返さなければ気がすまない。 あの顔にこの拳を打ち込むのを想像し、体が熱くなるのを感じた。―――楽しみだ。 「御意。まぁ、あの狭い路地裏に追い込んだんだ。時間の問題だろうな」 参謀は表情を変えない。しかし、こいつを疑う事はない。 頼りになる男だ。こいつのおかげで俺はここまでのし上がってきたのだから。 「報告が楽しみだなぁ、おい!」 さらにテンションを上げて声を出す。 気分をあげる事は重要だ。暗い気分ではうまくいくものもいかなくなる。 『リ、リーダー!大変です!』 そこへ部下が一人通信を入れてきた。 慌てた声だったが、気にせずに先を促す。 「おっ、さっそく捕獲の報告かぁ?」 もしそうであれば拍子抜けではあるが、それがベストであるのも確かだ。 しかし、返事は思わしく無い物だった。 『い、いえ…。路地裏の一角に追い込んでいたターゲットですが、包囲していたメンバーを撃破し突破しました!』 その報告は、追い詰めていたはずの相手に出し抜かれた、そういう内容だった。 報告に反応したのは参謀のほうだった。 「なに!?みすみす逃がしたというのか!」 眉を吊り上げ、糾弾するかのように声を上げる。 しかし報告はそれで終わりではなかったようで、通信機からは続けて声が流れてきた。 『そ、それが!ターゲットと巻き込んでいた一般人二人が包囲網を突破後、このアジトに侵入しました!』 その報告は意外なものだった。 逃げ切られた、というならばまだ分かる。今までも散々煙に巻かれてきたのだ。 「なっ!?なぜわざわざ足手まといを抱えながらこちらへ攻めてきたのだ!?」 だが、奴は逆に攻めてきた。 これは意外であると同時に脅威でもある。あのメイドの強さは相当だ。 「おいおい、まさかその二人、あのメイドの仲間なんじゃないだろうな」 そして最悪の可能性はこれだ。 通行人と思われた二人は仲間で、向こうは最初から攻めて来るつもりだった、という可能性だ。 『いえ、その様なそぶりは無かったのですが…』 部下からの報告では判断がつかない。 しかし攻め込まれてしまった後である今、その考察に意味は無い。 「そもそも、一体どこから侵入した!?正面の警備は万全の筈だ!」 確かに、正面入り口以外は封鎖されており侵入口は正面しかない。 なおかつ、正面は常時戦闘員を配備し、銃火器も十分配備している。 『それが、正面から突破されたとの報告ですが…挟み撃ちをされたという報告もあります!』 挟み撃ち…?後ろに回りこんできた奴が居るのか? 報告だけでは分からないが…、いや俺の考える事ではないか。 「ちっ!とにかく、迎撃しろ!足手まといを抱えたままで、制圧できるような場所ではない!」 参謀は忌々しげに顔をゆがめると、指示を飛ばした。 確かに彼の言うとおり、足手まといを抱えているままなら返り討ちにするだけだ。 『はっ!了解しました!』 指示を受け、通信を切る部下。 参謀の迅速な指示に安心感を得たようで、焦りは消えているようだった。 「ふん…、少し焦ったが余計に捕獲までの時間を縮めただけだ」 そういって参謀は廃工場内の主要な場所に仕掛けられたカメラを調整し始める。 カメラやらレーダーやら、このアジトは随分と充実している。 調整を行う様子に焦りは見えない。 しかし、参謀も分かっているはずだ。 この状況は思った以上にピンチである事を。 足手まといを連れている、等と言ったが。 ほんとにそうか?…そんな筈は無い。あのメイドはアジトに直接乗り込んでくるような無茶をするタイプではない。 なら、突撃を敢行したのは残りの二人のうちのどちらかだ。 素人考えで突撃を提案したのであれば、メイドがそれを受け入れる筈がない。 「逃げられないと踏んで特攻を仕掛けてきたって訳か。焦らせやがるぜ」 ならば、少なくともあちらは勝算があってこちらに突っ込んできている。 そしてあのメイドはこの状況を相手にしても勝算を見出す位に常識ハズレな存在だ。 それを分かっていながらも、それでも俺は笑う。 今はまだ参謀に任せておけば良いのだ。俺は、目の前に敵が来てからが仕事なのだから。 ~~~~~侵入からマイナス5分~~~~~ 敵を撒いて、メアリと逃げてきたその後。 そのまま逃げ回る、という事も無く。 一旦身を隠す事にした私達は、廃ビルの一角で身を潜めていた。 となりに居るメアリは、不可解そうな目で私を見ている。 理由は分かり切っている。目の前に居る、もう一人の少女のせいだ。 私はその新たに現れた少女に目をやる。呆れた表情をしていたが、私と視線が合うと言葉を漏らした。 「…事情は分かったわ。視歩、あんたやっぱり馬鹿でしょ?」 ―――一言目から辛辣だった。 いやまあ仕方ないけど。しかしここは不真面目に返しておく。 「来て早々その言い草はどうなんだい、芙由子?」 そう、目の前に居るのは吉永芙由子。 私達チャイルドデバッカーのメンバーで、頼りになる電撃使いでもある。 私の返しに眉一つ動かさずに腕を組み直すと、一瞥。 きわめて平坦な口調で口を開く。 「休みの日まで厄介な事に首を突っ込むなって言ってんのよ」 正論である。巻き込んでしまって申し訳ないが、手を借りたかったのだから仕方がない。 このまま二人で事を成すよりも、芙由子の手を借りたほうが絶対的に有利だと思ったからだ。 「ええと…、吉永さん、でしたっけ。巻き込んでしまってホントに申し訳ありません」 メアリが頭を下げる。まぁ、私が連絡して呼び出したんだから巻き込んだのは私なんだけどね。 しかしメアリに対してはやわらかい笑顔を浮かべた芙由子は首を振りながら 「ああ、いいのよ謝らなくても。こいつも逃げようと思えばいつでも逃げられたんだし」 と、私を見やる。逃げるってのも変な話だよね。別に私は想定外の事態に陥った、なんて訳でもないのだし。 なので、そうは言うけど、と前おいてから反論をぶつけてみる。 「目の前で拳銃持った男に追われてる女の子が居たら、逃げるわけにいかないだろう?」 実際、芙由子なら見逃しはしなかったであろうと言う確信があるがある。 そういう子である事は十分分かってるし。まぁ、私の場合はそもそも逃げる必要が無いんだけどね。 「いや、それはそうなんだけどね…」 案の定、この反論にはすんなり折れてくれたようだ。 そこに追い討ちをかけることで、恐らくこちらの言い分を飲んでくれるはずだ。 「それに、今回は無理しない為に芙由子を呼んだんだし、ちゃんと学習はしてるだろ?」 うむ、我ながら完璧な言い分だ。 打算的過ぎて自己嫌悪に囚われるがすぐに振り払う。 「むむ…。確かに一人でやろうとしなかったのは良い事ね、うん」 むむむ、と唸るように腕を組んでいる。 ここまでくれば何だかんだで手を貸してくれるだろう。 「四方さん、そんなに頻繁に厄介事に巻き込まれてるんですか…?」 と、そこに遠慮気味に言葉を挟んでくるメアリ。 その言葉に対して、そりゃあもう、と強調してから説明を行う。 「こいつは歩いてるだけで事件が勝手に起きるくらいのトラブルメーカーよ」 あんまりな説明じゃないかな、それは。 そこまで言われると私が悪い事しているみたいじゃない。 「ひっどい言い様だなぁ」 若干口調が素に戻り気味な気がしたが、気にせずに。 非難の目を向けてみたが効果は無いようで、さらに呆れた目線が返ってくる。 「事実でしょうが。否定はさせないわよ」 ぐうの音も出なかった、仕方がないので肩を竦めておく。 雰囲気に耐えかねたのか、メアリが一歩前へ出て申し出た。 「と、とにかく!この近くに、私を追ってる連中のアジトがあるみたいなので、速やかにここを脱出しないと!」 その言葉を聞いて、微かに眉を上げた芙由子が一言。 「……ねぇ、視歩。わざわざ私を呼びつけたって事は…」 まさか、といった目で私を見てくる。 ふふっ、さすがは芙由子。私の考えを良く分かってる。 「ん?…あぁ、もちろん。そのアジトを今から潰しに行くよ」 「――――――はい?」 おお、メアリが面食らってる。 私の発言を信じられない、という面持ちで受け止めきれずにいる様だ。 「やっぱり…。本気で言ってる?いくらスキルアウト風情とは言え、三人でやるっていうの?」 ますます呆れ顔で芙由子が言う。 腕を組んで、こちらをちらちら見ながら話す、芙由子のよくやる癖を披露しながら。 「そうだよ。武装しているとは言え、相手はスキルアウト。それにあのアジト、風通しは良さそうだしね」 事実、情報を見る限りはどう見たって烏合の衆の域を出ない。 しかし、全員が全員雑魚という訳では無いようだが… 「またあんたは無茶な事を…。でも風通しが良い、か。それなら三人でもそこまで難しくないか。メアリも戦えるんでしょ?」 私の無茶な言い回しにもしっかり正しい反応をしてくれるのはありがたいことだ。 やっぱりこういう風に無駄な駄弁りを挟まないと本調子になれない。 「ちょ、ちょっと待ってください!何言ってるんですか、あなた達?!」 耐えかねた様子で口を挟まれた。 まぁ、メアリからすればすんなり受け入れられる話ではあるまい。 「何って、このまま追いかけられ続けるの嫌でしょう?だから根元から潰してしまおう、って視歩は言いたいんだと思うわ」 「大・正・解。流石は芙由子。私を良く分かってるじゃないか」 芙由子の正確な推察にOKサインをだしつつ、ウィンクしてみる。 それにここら辺は私達の拠点も近いし…有り体に言えば、連中は邪魔だ。 「あんまり分かりたくないんだけどね…」 さて、これで芙由子の承諾は得られた。 あとはメアリの協力を取り付ければ万事うまくいくだろう。 「いやいやいやいや!相手が何人いるかも分からないんですよ!?それに、銃とかの武装もしてますし!」 案の定、激しく反対された。 ならば理詰めで攻める。情報を提示し、こちらの勝ちの可能性を示せばメアリは恐らく乗ってくれる。 「スキルアウト集団『大炎上』構成員は現在20名程。最近他のスキルアウト集団を通じて、拳銃や爆弾などの武装をしてるみたいだね」 という訳で現時点で持っている情報を開示。 ちなみにこれはそれなりに新しい情報で、信憑性も高いものだ。 「え…」 呆けた顔をしているメアリを横目に、芙由子が合点がいったように頷く。 「もう調べてもらった後なのね。樹堅の情報網は相変わらずねぇ」 そう。樹堅とは、我らがデバッカー最強の情報網を持つ、情報戦担当の男だ。 彼の情報は正確な上、広い範囲をカバーしているので頼りになる。 ま、誰も樹堅からの情報だなんて言ってないんだけど、まぁ、いいかな。 「私達の情報網を舐めちゃあいけない。既にあのアジトへの侵入経路も分かってるし」 私の力を使えば、かなり広範囲の空間を把握する事が出きる。 ここはアジトに近い位置だけあって、内情調査くらいは容易かった。 「……あなた達、本当に何者なんですか?」 不意に真面目な顔になって、疑問を投げかけてくる。 ま、その疑問は当然か。一般人と思っていたらこれなのだから、驚くのも無理は無い。 「ふっ、その辺りは全部終わった後でね」 「何かっこつけてんのよ」 …せっかく良い感じに決めたのに。水を差してくれるじゃないか。 そんな視線を込めつつ芙由子を見ながら、非難の声をあげる。 「そこは乗ってくれないと。台無しじゃないか」 「知らないわよ、そんなアンタの都合は」 まるで意に介さないその様子にちょっとショックを受けたが、顔には出さないように勤めた。 しっかし、デバッカーに馴染んできたと同時にスルースキルまで上がっちゃって、なんだか複雑な気分だ。 「何だか、頼もしいような不安なような…。一つの組織を殲滅しようとか言ってるのに、緊張感ゼロでございますわ…」 これがウチの日常なのだから仕方ない。 緊迫した状況でこそ、普段と同じ振る舞いが重要なのだ。 「緊張で固まってたら殲滅戦なんて出来やしないわよ。戦場を手ぶらで散歩する位じゃないと」 その通り。戦場を手ぶらで、の下りは確かに私達二人には即した例えだとは思う。 何かしらの装備は普段から欠かさないとは言え、私は徒手空拳が武器だし、芙由子は電撃だし。 と、まぁそれは良いとして。 私達の言葉を受けて、呆れ顔を浮かべていたメアリは、頭を振った。 「そんな境地には至りたくないですわ。…ホントに、やるんですね?」 そして再び上げた顔は、戦う者の顔だった。 「ああ。付き合うだろう、メアリ?」 彼女は静かに頷いた。私は微笑んで、メアリの手を取った。 さあて、いよいよ本格的に縁が出来ちゃったかな。これが終わった後が楽しみだ。 「よし、こっちだ二人とも。侵入経路へ向かいつつ、侵入後の動き方を伝える」 ―――さぁ、ミッションスタートだ ~~~~~侵入から5分経過~~~~~ 「うーむ。スキルアウト風情とは言え、流石に数が多いわねぇ」 私たちはアジトに侵入した後、三人で入り口付近のスキルアウト達を一掃した後、通路を歩んでいた。 ちなみに侵入経路にいた敵は一分余りで全滅した、南無。 しかし、ゴロツキ風情の癖して頭数ばっかり多くて困るわ。 それにこの建物内、なにか感じると思ったらレーダーが張られている。 電磁系の生体レーダーか。私に読み取れるのだからそういう物なのだろうが…。 廃工場内の部屋には、それぞれセンサーと思わしき装置が備え付けられていた。 なんだ、思った以上に設備があるんじゃないか。 「というか、四方さんは大丈夫なんですか?一人で行っちゃいましたけど」 斜め後ろをついてくるメアリが不安そうに声を掛けてきた。 まあ、普通に考えれば単独行動はNGなんだけど… 「大丈夫よ。むしろ、視歩にはああやって単独先行してもらったほうが都合がいいわ」 実際その言葉の通りで、むしろ一緒に行動すると互いの役割を阻害しかねない。 私もそうだが、視歩は特に近くの仲間まで吹き飛ばしかねない戦い方をするからだ。 「え、えっと。どう考えても相手の本拠地に一人で行かせるのは不味いと思うのですけど…」 …近くに敵の気配はしない。 気張り過ぎても何なので、メアリにそこらへんの話をしながら前進するとしよう。 「うーん…。見た感じで構わないけど、敵にとって視歩の一番恐ろしいところって何だと思う?」 という訳でまずは質問をしてみる。 あいつの戦い振りを見てどう思ったのか、それを聞きたい。 「格闘の強さでしょうか…?インファイトじゃ誰も勝てそうになかったですけど…」 そうだろう。最初は誰もがそこに目が向く。 実際、視歩の格闘センスはすさまじい物がある…が、それだけでは勝てない。 「違うわ。侵攻戦におけるアイツの恐ろしさは、『機動力の高さ』よ」 言い換えれば総合的な『速さ』の事だ。 視歩を敵に回して一番厄介なのはそこに尽きる。 「機動力、ですか?確かに動きは速そうでしたけど…」 「さっきのなんて序の口。正直、戦場で自由に動き回られたら誰も捕まえられないわよ、アレ」 全力を出さずとも、容易に人の意識から一瞬で外れるあのスピードは脅威だ。 「そんなレベルなんですか…。ますます訳が分からないですね、あの人」 具体的な速さ把握していないが、最高速よりもその加速度に妙がある。 ただでさえ小柄なあの少女が、静止に近い状態から一瞬で超高速移動を行う。 分かっていても目で追えないのだ。そこにフェイントやらが加わるのだから手に負えない。 「酷いもんよ。銃で撃とうにも速すぎて補足出来ない。直接殴ろうにもそもそも追いつけない。 かと思えば一瞬で距離を詰められて、何にも出来ずにKO」 銃は私たちの様に生身で戦うものにとって脅威となるが、それを扱うのは人だ。 使用者が敵を補足出来なければどんな銃も脅威足りえない。 そして少しでも隙を見せようものなら…気付いたときには地面に転がされているという訳だ。 「うわぁ…」 「それに、あいつは空をほぼ自在に飛べるっていう最大のアドバンテージがあるし。 歩いて通れないところを超スピードで抜けてくるから、待ち伏せも罠も包囲も意味が無いのよね」 待ち伏せをしていたら気付かないうちに敵が後ろにいた、何て事を当たり前の様にやってのける。 「さらに、うわぁ…」 ここまでの説明でだいたい納得してくれたようだ。引き攣った顔には共感を覚える。 特に視歩を単独で行かせる理由は、最後の罠や包囲をもろともしない所にある。 「だから、今回もアイツには先行してもらって、罠や策を事前に潰してもらう役目をしてもらうって事」 要するに、彼女は陽動&進軍ルート作りが役目と言うべきだ。 ゲーム的に言えばシーフと言ったところか。 「ただでさえ相手が多いですからねぇ。待ち伏せとかは避けたいですもんね」 まあ、私も待ち伏せ崩しは向いてるんだけど。 あえて言う必要は無いので気にしないで於こう。 「そゆこと。ある程度はアイツに任せてしまっていいわ。私達はあいつの撃ち漏らしの始末と陽動が仕事」 そして、これは多分だけど。視歩はこの件が終わったらメアリを仲間に引き入れるつもりなんじゃないかと思う。 アイツがそのつもりなら止める理由も特に無いし、今のうちにメアリの適正を見極めておくのも悪くは無い。 「何か、えらく楽な仕事になっちゃいましたね」 残党処理と考えれば確かに楽なのだが…視歩がわざわざ私を呼び出した辺り一筋縄じゃ行かない可能性がある。 そこらへんは私の方が気に留めておけば良いことだ。それに… 「それでも、あいつに不測の事態があれば私達がやらなきゃいけないんだし、気は抜いちゃ駄目よ?」 それに、どうやらこのメアリと言う少女も何やら只者では無さそうだし。 先ほどから素人のような発言をしているのにも拘らず、辺りへの警戒は隙が無い。 楽な仕事と口で言いながらも、ちっとも油断が伺えない。 ふざけた格好をしながらも、だからこそ気味の悪い威圧感を感じるのだ。 彼女は私のほうに顔を向けながら、目線だけを意味深に前方へと向け 「そうですね!この曲がり角の向こうにも、敵が居ないとは限らないですし」 と、にこやかに笑った。 そう、彼女の言う通りこの目の前の曲がり角。 待ち伏せをするに当たって曲がり角と言うのは定石だ。 「そういうこと。―――そして、まさしく貴女の言うとおり。私が居る限り待ち伏せなんて…」 それを知っていての発言か、それとも彼女もまた何かの手段で気取っていたのか。 恐らくは後者で、今の発言すらも私に対する助言という事では無く。 ともすれば私も気が付かない程度に抑えられた、自分の力を示すアピール。 先ほど私がメアリの力を見極めると言ったが、どうやら向こうも私を見極める心積もりらしい。 ……面白い、実に好感が持てるじゃないか。 なら、お望み通り私も力を示してあげましょう。 ポケットを探る。手に当たった硬い感触を掴み取ると、それを前方へ放り投げた。 「―――――させる訳無いでしょう?」 投げられたのは小さな鉄片。それが曲がり角の先へ落ち、角の向こうの気配が動いた。 ―――それよりも速く構えられた私の人差し指から地面で跳ねた鉄片が直線で繋がれる。 雷鳴が轟く。指先と鉄片を繋いだ雷撃は勢い余って終点の鉄片を飛び出し――― 「―――――――カ、ハッ…!?」 ―――壁の向こうに居た何かに辿り着いた。 動きかけた気配は結局そのまま、倒れ伏して動く事は無かった。 「悪いけど、隠れたところで私のレーダーからは逃れられないわよ」 指を引くと鉄片が宙を舞って手に収まる。 戻ってきた鉄片を弄びながら、ふん、と鼻で笑うと隣から声が掛かった。 「…鉄片を使って電撃の軌道を変えたんですか」 感心した様子で、手の中の鉄片を見つめていた。 種明かし、と言うほど難しい事はしていないが、一応説明はしておこう。 「正解。直線に飛ぶ電撃じゃあ、曲がり角の向こうを狙うには工夫が必要なのよ」 最も、今の方法以外にも色々とやりようはある。 応用の幅が広いのが私の能力の長所だ。もちろん、それなりの発想と努力は必要だが。 「でも、撃ちもらしたり仕留め損なう事もあるからそん時は任せるわ。あと、罠を張るのは貴女のほうが向いてそうね」 今までの彼女の様子を見る限り、メアリの性質は読めてきた。 彼女の性質は『姑息』だ。言い方は悪いが、正しいと思っている。 そういう性質を持つ人物は得てして他人の思考の裏を読み、罠に嵌める事が得意。 また、罠を練る事そのものに楽しさを感じるタイプ。そういう人物は、扱い方を誤らなければ強力だ。 「まぁ、罠を仕掛けたり意表を突くのは得意とするところでございますけれども」 そしてこの子はそういうタイプの例に漏れず、扱い方に苦労するタイプだろう。 私はあまり人を使う立場には向いていない。だが、多少の心得はある。 「ええ。さっそくよろしくね。この先300m先くらいから敵の集団が来てるわ。数は…5人かな。動きを見るに視歩の奇襲を受けて撤退中って所かしら」 こういう手合い相手の時は、とにかく利害関係をはっきりさせる事が重要。 そして、この場合において彼女に与えられる利は「情報」だ。 索敵能力に優れる私が、メアリに情報を渡す利。 敵を一網打尽にする技能が優れるメアリが、私に攻撃手段を渡す利。 「あらら、さっそくですか。りょーかいです。5人なら…私だけで十分ですかね」 彼女も正しくそれを理解してくれたのだろう。 要するに、私が目となり彼女が手となる訳。 「私はどうした方がいい?」 彼女に任せるとは言え、私に出来る事があるなら手伝うに吝かはない。 ひとまず、利害がはっきりしている間は裏切りも無いだろうし…。 ま、何と言うか。一筋縄じゃいかないどころか、これは私達が味方して良いのか分かんなくなってきた。 嫌な子では無いけど、少なくとも良い子ではなし。下手をすると、悪い子ね。 「迂回路を使って先に進んでおいて下さい。すぐに追いつきますので」 指示を与えられる。いや、これは指示ではないだろうが。 言う通り、5人程度なら一人で容易いと言いたいのだろう。 「はいよ。一応助けに来れる範囲には居るから、気をつけてね」 ふーん…これは案外、好意的か…? この期に及んで一人でやろうとするのは、私が邪魔だからかそれとも。 まだアピールが必要だと思っているのならば、それは恐らくこちらをある程度認めてくれた上での、だ。 「心遣い感謝します。では、準備しましょうかね」 そういうと彼女は手袋を下に引いて引き締める。 と、同時にキリキリと軋む音が響いた。ちらりと、光る線が目に入った。 その顔に貼り付けられた笑みはまるで―――――蜘蛛、ね。 ~~~侵入から7分経過~~~ 「くそっ、あの女一体何処から現れたってんだ!」 廊下の置くから声が響く。数は1,2,3…5。吉永さんの言う通りだ。 (彼女は聡明だった。私を正しく道具として、武器として扱うべき事を分かっていたから) 「偵察班の報告では、侵入者はまだ入り口付近に居るって話だったのに…」 焦っているのが伝わってくる。耳に、目に、糸が伝う手足にも直接伝わってくる。 (しかし吉永さんは主人成り得ない。彼女もまた歪みを抱えていた事は分かった。しかし) 「報告が間に合ってないんだろうさ。さっきの女、化物みたいな動きしてたし…最悪、偵察班は壊滅してるかも」 さっきの女…四方さんですかね。化物みたいな動き、と。吉永さんの言はやはり合ってるらしい。 (吉永さんの歪みは誰かに取り除かれた後だったからだ。これでは私が支えるべき人にはそぐわない) 「とにかく、あの女から離れて体制を整えないと…!」 彼らは周囲に敵影が無いかを確認しながら、慎重に撤退を行っていた。今回に限ってはその慎重さが仇となる事も知らずに。 (だったらだったら、四方さんなら?まだ彼女の事は図りかねるが、しかし) 「よし…!もう少し下がったらリーダーに連絡をとろう」 順調に彼らはこちらへ近づいていた。待ち構える私など目に入っていない様だけど。 (彼女もまた歪みを抱えているのは分かった。そしてそれをまだ取り除けていない) 「りょーかい。もう少しいけば広いところにでるから、そこまでは…ん?」 通り過ぎた。私に気付かないまま、つまり―――――罹った。 (ふむ、何とも言えない。もっと四方さんの事を知らなければ) 「どうした?」 ふふふ、まだ気付かないようです。私と言う捕食者の存在に。最も、今更気付いても手遅れですが。 (おっと、そろそろ分割思考もおしまいにしときましょう。続きはまた後で、ですわ) 「いや、今足に何かが当たった様な………うわぁ!?」 意識が一つになると同時に私は強く手を引いた。 キリキリと音を立てた糸が男の足を絡め取り、その体をひっくり返した。 「なっ!?罠か!?」 一番近くに居た、別の男が驚愕の表情を浮かべる。 そしてその表情が戻らないまま、倒れた仲間を助けようと一歩を踏み出した。 「くそっ、早く助けないと!」 その一歩が命取り。また私の手が強く引かれる。 ぴんっ、という鋭い音と同時にまたもや糸がキリキリと音を立て始める。 「馬鹿、迂闊に突っ込むな!」 ―――――さてさて、仲間の忠告はしっかりと聞いておかないといけませんよ?――――― 「うわぁぁぁぁ!!」 音を立てて冷たく唸る糸が、もう一人の男の足を絡め取った。 びぃぃぃぃぃいぃぃぃんっ、と指で糸を弾く。 「くっそ、何処にいやがる!」 それに反響するように、張られた全ての糸が音を立てて振動する。 その音は獲物を更に追い詰め、精神的に疲弊させる。 「んなの後にしろ!今は逃げるぞ!」 冷静なのであろう一人の仲間がこの場での最も賢い選択肢を提示する。 残った二人の仲間に対して怒鳴るように叫び散らす。 「あいつらを見捨てるってのかよ!?」 精神的に参っているであろうもう一人は、その叫びに対して叫びで返した。 しかしその焦りの声を許容した上で冷静な男は理由を付け加えて叫び返す。 「ここにいたら全員共倒れだ!一人でも多く逃げ切れば、助けるチャンスも増える。今は逃げるんだ!」 ふむ、確かに正しい。尊重すべき意見で、感心すべき判断力だ。 (でも…やっぱり愚かです) 「くそ…でも、逃げるにしても何処に行けば…」 男たちは踵を返して、戸惑う。どこへ逃げればよいのか、それすらも判断はつかない。 焦る、慄き、恐怖。それらを呼び覚ます、この糸が奏でるのはそんな音。 「後ろだ!この道は一本道。奴が待ち伏せして罠を張っていたのなら、来た道を引き返せば罠は無い!」 それも冷静な意見、賞賛すべきだが、やはり愚か。 (そうじゃない、そうじゃないんですよ。正解を、選んでくれたらよかったのに) 「四の五のいってる暇は無いか…!逃げるぞ!」 ―――――確かに。罠にかかった仲間に人員を割くのは得策とは言えません――――― 「言ってろ!この借りは必ず返してやる!」 捨てゼリフ、みっともなくて情けなくてやはりどうでも良い。 (正解を選んでくれるなら、もっと感慨がもてたのに。こんな相手じゃあ、ねぇ) 「もう少しで一本道を抜けるぞ!あと少し頑張れ……って、何!?」 ―――――でも、出来るなら一人目が掛かった時点で全力でUターンするべきでしたね――――― 「そんな、何で後ろにまで罠が!?」 逃げ場なんてもう無いのに、愚かにも後ろへ逃げていく男達を見ていると…なんだか、とても。 (ああ、覚める、醒める、褪める。冷めていく―――意識が視界が心が冷めていく) 「俺たちの行く先で待ち伏せてたんじゃないのかよ!?」 ―――――待ち伏せていましたよ?何で後ろにまで罠を張れたかと言いますと――――― 「わわっ!」 もう終わらせよう。ここに居ると、心が凍ってしまいそうだ。 (早く終わらせたい、早くここから立ち去りたい) 「くそっ!この糸、一体何処から…!」 そして私は姿を現す。獲物の前に、表れる。 (いつも、最後には獲物の前に現れては、その命を喰らう) 「―――――私は最初から貴女達の後ろに居ましたからね。当然の話ですよ」 今回も同じだ。私が殺す理由なんて、簡単なんだ。 (この人たちは間違った。正解を選ぼうとさえしなかった。そんなの、いやだ) 「なんでそっち側に…。じゃあ、最初の罠は一体…」 (何か喚いてるけど、耳に入らない。 いや、『私』は滞りなくそれに応えているけれど、意識はどこか別のところへ飛んでいた) 「最初の罠は普通に仕掛けただけでございますよ?それに掛かる貴方達を待ちわびていた私を、貴方達が気付かずに追い越していっただけで」 (主人を探す、それが私の目的。 これまで一体どれだけの人と出会い、見極め、絶望してきた?) 「そんな馬鹿な!俺たちは警戒しながら進んでいた筈だぞ!?」 (分かってる。それは全て私に原因がある。 絶望や失望は期待と願いの裏返し。勝手に期待して、勝手に裏切られ、勝手に絶望してるだけ) 「警戒が甘いんですよ。五人も居るのに死角を残してる時点で甘々です。和三盆並みに甘いですわ」 (一体それで何人を犠牲にしてきた?嗚呼、嫌になる。 だから早く、どちらでも良いから現れて欲しいのに) 「死角って、一体どこに…」 (仕えるべき主人か、正解を選ぶ人か。 どちらでも良いから早く現れないかなぁ、なんて) 「あらあら、蜘蛛は天井にだって巣を張りますわ。頭上注意です」 (だから今はただ使われることを望む。 吉永さんの様に、道具として武器としてみてくれるなら一番良い) 「天井…まさか、ずっと上に居たってのか!」 (そしていつか出会った時、私の人生に意味が与えられるんだ) 「糸を使って天井に貼り付いてただけなんですけどね。気付かれていなかったようで幸いです」 意識が体へと戻っていく。 狂っていた心が落ち着きを取り戻していき…平穏を取り戻す。 「そんな…こんな所で…」 「…………………………」 意識が蘇る、現状を把握する。 そう、後はこの手を強く引けば終わり。 それだけでココで五つの命が喰らわれる。 「そうそう。こんな所で貴方達は終わりなんですよ。悔しかったらまた来世で頑張ってくださいね?」 ああ、言い忘れていた。蜘蛛の巣に罹った時、唯一助かる正解は―――――――――――― ――――――――――――――――――――――――捕食者を喰い殺す、それだけが正解。 ~~~~~侵入から10分後~~~~~ 「どうして止めるんですかー?もう少しであの方達を始末できたのに」 最後の最後で止められた。 あと一歩で彼らの四肢がお別れするその寸前で、私の頭に人差し指が突きつけられた。 「いやいや、あそこまでやっといて止めを刺す気だった訳?拘束しとけば問題ないでしょうに」 止めたのは吉永さんだった。手には何も持っていなかったが、あの人差し指が先ほどと同じ光を放っていたら。 あの時点で私の意識はいとも簡単に奪われていただろう。 「でもでも、この件が終わった後に付け狙われるリスクを減らすには、ここで殺した方が良いじゃないですか」 そうだ、ここで止められては後々リスクを負う。 例えココから逃げ出せたとしても、また禍根を生むではないか 「あのねぇ。個人相手ならともかく、集団相手にそれをやると、残りのメンバーの恨みを買って余計に追っかけられるだけよ?」 言われて気付く。確かにそうだった、他の人からの報復というのに思い至らなかった。 ―――ナラ皆殺シニスレバイイ。ソウスレバ追ワレナイ。 「むむむ。それもそうでした」 振り払う。それはダメだ、この考えは認められない。 物理的に困難だとか、そういう問題じゃなくて。その理由で人を殺せるようになってしまえば、もはや天井は無くなる。 そうして唸ると吉永さんが肩を竦めながら口を開いた。 「それに、心配しなくてもこの件が終わったら連中おしまいよ。後で分かるわ」 それは…、どういう意味だろうか? 理由が分からないが、どうにも確信がありそうだから信じておく事にする。 「へ?…まぁ、そういうなら納得しときますけど」 とにかく、納得した様子の私を見て吉永さんは、ふんと鼻で笑うと踵を返した。 片手を上げてぶらぶらと振ると私を促す。 「それじゃ、先に進むわよ。っていうか廃工場風情の癖して広過ぎでしょ。どこに敵の頭が居るんだか分からないじゃない」 と思えば振り返って愚痴を漏らし始めた。 なんだかその能天気さが、今の私にはおかしくて笑えてくる。 顔から溢れる笑みを抑えて、それでもにじみ出た微笑を貼り付けながら 「メンバーも20人近く居る大規模なスキルアウトですし…拠点も広いところを選んだんでしょうね」 彼女の愚痴に付き合うことにした。 さっきまでの荒んだ心が治まる気がした。これは救いなのだろうか? 「それにしたって広過ぎ…。まぁ、敵の密度が低くなるって点では良いけどさ」 歩みを進めながら、未だ愚痴をこぼし続ける彼女に付き従い、歩いていく。 微笑を浮かべながらも私の頭は別の思考に囚われていた。 ―――――四方さんは、大丈夫でしょうか…? ~~~~~侵入から10分後~~~~~ 一方、吉永達の居る一階から一つ登って二階の廊下にて。 (こいつら、ただのならず者集団かと思ってたけど…思ってたより厄介かも) 芙由子達から先行し遊撃に回っていた四方は現在、通路の一角で様子を伺っていた。 役割である遊撃とかく乱は滞りなく行えていたが、彼女の表情は晴れない。 (敵の頭の位置がこうも特定できないなんて…。工場が広過ぎるってだけじゃないかな、これは) 本来ならば、構成員の動きを見ていれば指示を出している人物の居場所はある程度判別できる物だが、今回はさっぱり予想できずに居た。 最大目標である敵指揮官の撃破という目的を未だに果たせていない事に焦りを感じ始めていたのだ。 (指示を出している奴の居場所が分からないのもそうだけど、敵の動きが中々どうして侮れない どうやら無線で指示を飛ばされているようだけど、警戒の仕方も対応もスキルアウトとは思えない…指揮官が有能なのかな) こちらの居場所が割れているように思える。 何か察知できる要素がここにあると言う事か…? 無能力者の集まりとは言え、武装をしている集団はそれなりの脅威だ。 拳銃程度の武装ならば四方を捉える事はまず無いが、銃口を向けられるリスクは少ない方が良い。 (ここで何時までもじっとしてる訳にも行かないか。そろそろ動こうかな。芙由子達の進路上に敵が集まり始めてるみたいだし、事前に潰しておかないと) ひとまず敵の指揮官を片付けるのは後回しにして、吉永達の援護に向かう四方。 何故、敵の動きが分かっているのか。それは彼女も吉永と同じ様に、能力を用いて敵の居場所や動きを察知しているからだ。 (幸いな事に、この工場は風通しが良い。居場所どころか会話まで聞き取れるのは楽でいいかな) 彼女の能力は風を操る事。その力は風の流れを読んで敵の動きを感じたり、風に乗った会話を聞き取ったりと補助的な使い方も多い。 彼女が的確に待ち伏せや罠を潰せているのも、この風の流れを読むことによる探知が一役買っていた。 (敵は…階段を使って待ち伏せをするつもりね。やっぱり、指示を出してるやつが問題か。高低差を使い、尚且つ逃げ場の少ない階段の踊り場で待ち構える…厄介ね) 現在の四方の位置は二階の通路の中ほどの位置だ。 敵は二階から三階へと上る階段を待ち伏せ場所としているようだ。 (下から上ってくる芙由子達を上から狙い撃つつもりね。なら、その背後を突く!) そして、廊下から外へと繋がる窓を開けて足をかけると、外へと飛び降りた。 彼女の体が地面へむけて落ちる―――事は無く、彼女は落ちるどころか上の階の窓に手を掛けると、一息に廊下へと飛び込んだ。 「はい、お邪魔しますよっと」 「なっ!侵入者か!一体どうやってこの三階に「悪いけど、問答をする気は無い!」ぐはっ!」 一気に懐に潜り込み、ボディブロー。不安定な体勢の元に打ち込まれた痛烈な一撃はいとも簡単に哨戒員の意識を奪い取った。 膝から崩れ落ちた哨戒員を足蹴にして廊下の端に追いやると辺りを探り始めた。 (この階で哨戒している奴は…あと三人か。こいつらに見つからないように階段まで…) 言いかけて、ふと止まる。少し考えて、ふっと笑みを浮かべると 「見つからないように、なんてらしくないか。―――私らしく、一人残らずはっ倒す!」 地面を蹴り、四方の姿が掻き消える。階段への最短距離を通れば衝突するのは一人のみ。 その一人さえ片付ければまっすぐ階段へいけるのだが… (相手の指揮官が有能なんだったら、出来るときに手駒を潰しておくのが得策―――!) 遊撃の役割を受け持ったのなら、徹底的に芙由子達が楽を出来るよう障害を殲滅する。 敵の頭を見つける役割も、そこまでの道を開くのも、どちらも完璧にこなしてみせる! そんな風に意気込むと、彼女は進む足を早め隠密と速度を両立した動きで移動する。 (この曲がり角の先に一人!気付かれる前に仕留める!) 一切スピードを緩めることなく曲がり角を飛び出ると、反対側の壁へめがけて突っ込んだ。 壁を思い切り蹴って強引に方向転換すると、再びその姿が掻き消えた。 「ん…?何か、急に風が―――がっ!?」 吹き抜けた風を怪しみ、振り返った哨戒員Aは直後に訪れた強風に思わず目を閉じる。 そして再び目を開けるよりも速く、その背後には襲撃者の影が迫っていた。 (目標、延髄!目的、敵の沈黙!―――一撃で断ち切るっ!) 後ろから迫る四方にまるで気付かないその首元に、十分な勢いを持って四方の蹴りが炸裂した。 哨戒員Aは声を上げる事すら出来ずに意識を刈り取られ、吹き飛ぶ。 壁に激突する敵の姿を横目に、再び辺りを探りつつ思考。 (一人目!次はあっちに居る奴…距離はだいたい50mくらい!) 状況の把握と判断。それが終わるや否や、曲がり角を再び飛び出し先ほど居た方向とは逆側の通路へと曲がる。 その通路の先に居る敵の姿を目視すると、その方向へと全力で移動し始めた。 「何だ、今の音は!?―――くそっ、侵入者か!」 通路の向こうから聞こえてきた音に気付き、曲がり角から飛び出てきた哨戒員Bの目に映ったのは こちらへ向かって駆けてくる侵入者の姿だった。 (通信機を使われる前に仕留めれば―――敵との距離はそこそこ、一秒で終わらせられる!) より強く足を踏み込み、加速する。それを受けて哨戒員Bは通信機では無く、拳銃を構えた。 これは失策であったと言える。ここで通信機を使うことが出来れば、この先の展開も変わっていただろう。 「おのれ、侵入者め!―――なっ、消えた!?」 構えた拳銃の引き金に指を掛けるが、肝心の目標が視界から消えている事に気付く。 突如として消失した目標に戸惑いながら、敵を補足しようと意識を尖らせるがそれは既に遅かった。 「おのれ、一体何処に―――ぐはっ!!」 哨戒員Bの顎に痛烈な蹴りが突き刺さる。全く意識していなかった直下からの攻撃に、彼の意識はたやすく消失した。 蹴りと共に空中に飛んでいた四方は、勢い余って浮いた男の体をそのまま掴むと地面へ叩きつけ、間髪入れずに再び駆け出した。 (ラスト一人、階段前の廊下にいる奴!こいつを片付けて、そのまま階段の制圧に移る!) 階段前までは一直線の廊下が続き、その途中にある曲がり角には今まさに、最後の一人が出てこようとする姿があった。 まだこちらの騒ぎへと気付いていないと思われる姿を捉えると、四方はそちらへと向き直り、駆け出す準備を整えながら思考する。 (距離が遠い…。全力で行けば3秒か2秒くらい。…気付かれずに行けるか?) 最後の哨戒員とかち合う予想地点は階段の直近。もたつけば階段で待ち伏せを行っている連中に気付かれかねない。 一度体制を整える選択肢が頭に浮かぶが、すぐに掻き消す。出来る事は出来るうちに。電撃戦におけるチャンスは一期一会といって差し支えないのだから。 (ならば、出来る限り速く動く。限界を超えて―――跳べ!) 刹那、そこに居た四方の姿が消え突風が巻き起こる。 あまりの加速に体が悲鳴をあげるが、構っていられない。 (この勢いのまま、突っ込む!) 「あれ、何の音――――――」 最後の一人は悲鳴をあげることすら出来ずに意識を刈り取られた。 響き渡るのは風の音のみ。突風に攫われた哨戒員Cはそのまま宙を舞うが――― (この勢いのまま、階段の所にいる連中に奇襲をしかける!) ――――その体は急に動きを止めた。簡単な話、四方がその体を引っつかんだだけではあるが。 掴んだ敵の体を強引に引っ張り、階段前へと引き返す。 (奇襲ってのはインパクトが必要よね。って事で、この敵は有効活用してやらないと) 振りかぶり、投擲。階下に向けて投げられたそれは、大きな音と共に待ち伏せを行っていたスキルアウト達の前に着弾する。 突然の轟音に驚き、慌てて振り返ったスキルアウト達の目に映ったのは 「な、何の音だ…って、こいつは哨戒員C!?おい、大丈夫か!」 上の階で哨戒をしていたはずの仲間だった。 予想だにしない事態に慌てて駆け寄り、仲間の安否を確認するスキルアウト達だったが、その行動が間違いだった。 (うまい具合に一箇所に集まってくれたか。なら、一撃で決めれる!) 落下してきた仲間に気を取られているスキルアウト達の頭上には、既に先制攻撃の準備を終えた四方の姿があった。 哨戒員と四方、どちらも上の階から来た以上誰かが四方の存在に気付いてもおかしくはなかった。 ―――が、先に落ちてきた仲間に気を取られ誰も気付けなかった。 奇襲の兆候というインパクトを、負傷した仲間の唐突な出現という更に大きなインパクトで覆い隠す策。 簡単に言うが、タイミングや投げる位置など技術はそれなりに必要な荒業だ。 (五人が丁度固まってくれている。中心点は…あそこか。あそこに最大出力で叩き込む!) 四方の瞳がにわかに紅く輝く。出力が臨界点を迎えたその証と、右手に収束する暴風の予兆に気付いたスキルアウトの一人が上を仰ぎ見る。 すぐそこまで迫っていた襲撃者の姿を捉えた。 「き、奇襲だ!迎え撃―――」 「―――――今更気付いた所で、もう遅い!」 ―――急降下。 敵が迎撃反応を取ろうとするのより早く、下へ振り下ろした拳が着地する。 一瞬遅れて、巻き起こる嵐。 着地点を中心に、そこに居た五人が纏めて吹き飛ぶ程の暴風が吹き荒れた。 五人が五人とも、碌に悲鳴をあげる事もできずに壁や地面に叩きつけられて動かなくなった。 「―――よしっ、うまくいった。下の連中には…ばれてないみたいね」 ここを片付けておけば、芙由子達はすんなりとこの階までやってこれる。 そうすれば、敵の頭の場所を突き止める役割に徹する事が出来るだろう。 となればまず、どうやって頭の位置を突き止めるか。 考えて、上を仰ぎ見て―――――閃いた。 「…ふむ、試してみる価値はあるか」 視界に入っているのは電灯、明かりが灯っている。 電気が通っているならば、そしてこの組織の形態からすれば。 思い立ったが吉日、と言う事で窓枠に手を掛けて飛び降りた。 空中に漂い着地するまでのその時間にポケットから携帯を取り出す。 「―――っと、芙由子。すこし試したい事があるんだ」 『丁度良いわ。私の方も少し頼みたいことがあるのよ』 にっ、と笑って着地した場所から視線を上げる。 私のその目線の先にあるのは―――――発電機だった。 ~~~~~侵入から15分後~~~~~ 「おーけー。そんじゃ、手筈通り5分後にね。しくじらないようにね、お互い」 電話を切る。ポケットに電話をしまうと、後ろで控えていたメアリに向き直り 「メアリ、すこし頼むことがあるわ」 と切り出した。メアリは頷くと、目線で私に先を促した。 どうやらそれなりに私の言葉に信憑性を見出してくれたようだ。 「今から五分後、■■が起きたら、貴方は私が知らせる場所に向かいなさい。―――一人で」 その発言に微かに眉を動かしつつも頷き、口を開いた。 「分かりました。して、吉永さん。貴女はどうするんですか?」 それが対価として受け取る情報だ、と言外に表しながら尋ねた。 ならば隠す必要も無い情報だ。渡すのは吝かでもない。 「私はここで、あなたと視歩の手助けをするわ。手段は―――」 その手段を告げる。都合の良い事に、視歩の試したい事と私の手段は合致していた。 こんな所でも息が合うのはさすが友人か。なんか素直に喜べないけど。 「―――という訳よ。だから、五分後に」 「分かりました。しかし…中々の妙案ですね、これは」 私の指示を承諾し、感心した表情で笑った。 確かにこれはこの状況に即した最善策だろう。だからこそ、失敗は出来ない。 「ありがと、と言っておきましょうか。それじゃあ、頼んだわ」 片手を上げて振り返り、私はそのパネルに向かい合った。 全ての部屋に備え付けられていたセンサー。そしてこれは恐らくこのフロアの全てのセンサーを制御する操作パネル。 「さぁて、ここからが私の腕の見せ所ね」 ―――――――私はそのパネルに、触れた。 ~~~~~侵入後20分経過~~~~~ それは唐突だった。 何の前触れも無く、部屋の電源が落ちたのだ。 ―――――停電? 「なにっ!?」 「おいおい、どういうこったこれは!?」 慌てふためく、が直ぐに冷静さを取り戻した参謀が懐中電灯を取り出した。 明かりを灯してしばらくした後、部屋の電灯が明かりを取り戻した。 「予備電源をつけた。とりあえず、この部屋から徐々に電力が生き返っていくだろう」 対応が早いようで何よりだ。 電源が落ちた状態では正しい指示も出せないしな。 「生体レーダーは、生きてるな。下の階にいる二人は相変わらずあの部屋に居るようだが、もう一人はどこだ?」 このアジト内の至るところに設置されたセンサーから齎される状況が、この部屋の親機に表示されている。 停電前から二階の一室にとどまっていた二人は動いていないようだが、もう一人の姿が見当たらない。 「……………ん?」 胸騒ぎがした。理由は分からない、が。 何の意味も無く窓を閉め切っていたカーテンをすこし捲り、外を覗き見た。 「げっ」 目が合った。―――――何と?ここは、6階にある部屋で、その窓の外に一体何が居たというのか? それは一見すると可憐な少女で、でも合ったその目は、獣の様な恐い目だった。 「―――敵だっ!」 即座に飛び退り、距離を離した。それよりも恐らく速く、窓ガラスがはじけた。 黒い影が砂埃と共に部屋に飛び込んできた。部屋に一瞬、強風が吹き抜ける。 それをやってのけた影は、俺たちの目の前に静かに降り立つ。 その影は、片手を上げフレンドリーな感じで佇まいを正していた。 「や、はじめまして。私は、貴方達の敵だ」 口の端を持ち上げて、嗤う。 いやいや、これは何か―――拙い気がするぞ。 隣の参謀がごくりと喉を鳴らす。 一歩踏み出し、襲撃者に語りかける。 「どうやってココを知った?」 そう問うた参謀のほうを向く事も無く、襲撃者はくつくつと笑い、上を指差した。 その指の先には電灯があり、今しがた取り戻した明かりを煌々と灯している。 「外にあった発電機を潰したんだよ。予備電源を用意してるなら、リーダーの居るところから復活させるかなってね」 さっきの停電は罠であった、そういう事らしい。 まさかこんな策をとってくるとは…。しかもこいつ、単身で乗り込んできたのか? 「ちっ…、厄介な奴だ。お前、何者だ?あのメイドの仲間か?」 参謀が問いかける。その問いに対して女は、はっ、と一笑いして答えた。 「そだよ。私もメアリの仲間さ。仲間になったのはついさっきだけど」 くつくつと真似の出来ない嗤い方をしながら、俺の目を見つめていた。 獲物を見つめるような瞳は、恐怖をかきたてた。 「…で、アンタは一体これからどうするんだ?」 問いかけた。改めて俺のほうへ向き直った襲撃者は、俺と目を合わせた。 しばし、視線だけで応酬を交わしていたのだが、ふと顔を綻ばせ 「くっくっくっ。答える必要があるかい?」 そう言って、拳を構えた。 ―――だよな。そうだ、ここまできてやる事なんて一つしか、無い。 ~~~~~侵入から23分経過~~~~~ 「へぇ、驚いた。君、能力者だったんだ?」 何となくそんな気はしていた、が。 実際、目にしてみると結構びっくりする。 「スキルアウトのリーダーが能力者、なんて知られたら大変な事になっちまうけどな」 だろうね。そもそも彼がなぜスキルアウトのリーダーなんてしているのか自体気になるが…。 多分そこは私には関われない何かなのだろう。 「心配しなくても、誰かに話したりはしないさ。意味の無い事だからね」 「そりゃあ有難い。存分に力が震えるってもんだ!」 地面を蹴って走りだす―――否、走ったわけでは無かった。 「っ!?」 一歩で彼は私の目の前に来ていた。 それは走ったと言うよりは踏み込んだ、と言うべきか。 「うらぁぁぁぁぁっ!!」 拳が通り過ぎる。その速さと力強さは明らかに人間の限界を超えている。 先ほどの光景が過ぎる。6階、つまり最上階のあの部屋から場面は屋上へと移っていた。 「ふっ!」 すんでの所で身を引いて避ける。 そして、間髪居れずに逆に私の拳が彼の腹に埋まる。 どすんっ! と凡そ拳と腹が出会いを果たした音には似つかわしく無い轟音が響く。 が、ビクともしない。急いで再び身を引いた。 「おらぁぁぁっ!」 一瞬前まで居た場所に膝があった。 おいおい、これは拙い。それなりに良いの入ったのにダメージがまるでなさそうなんだけど。 「とっ、とと。いやはや、これは…なんとも」 桁違いだ。横目でちらりと天井に出来た大穴を見た。 その穴は、下の階から彼が上がった時に出来た物で、それはつまり。 「肉体強化、あるいはそれに順ずる何か、かな。それもかなりの強度」 肉体強化系の能力者。それならば全て合点がいく。 6階の部屋から天井をぶち抜いて屋上に来たあの身体能力。 「正解だ。俺の能力は単に肉体を強化するだけ。それだけだ」 そして今の動き………私の攻撃を受けてもビクともしない、そのタフネス。 彼の力は、ただそれだけ。そしてそれだけなら、ずば抜けていた。 (これは…厄介としか言い様が無いな) 兎に角、丈夫。それが厄介としか言い様が無い。 どうやって攻めた物かな、と頭を働かせる。 「俺もよ、普段は他の皆にばれないように抑えなきゃいけないんでな」 楽しそうに嗤って、ぶんぶんと拳を振る。 そして再び戦う構えを見せた。なんとも憂鬱になるが、四の五の言ってられない。 「なら、今日は存分に力を奮えるって訳だね」 不適に笑う。笑ってる場合では無いだろうが、しかし余裕は崩さない。 手を考えろ、普通では勝てないのなら普通じゃない手を取れば良い。 (殺さない、それだけは守らなければいけないルール) だから取れる手段は限られ、自然と少なくなる。 彼を殺さず、彼のタフネスを打ち破る攻撃。それが不可能な訳ではない。 「ああ、だから今は楽しくて堪らない。―――さぁ、再開といこうぜ!」 不可能ではなくとも、厳しくはある。 彼の動きを封じ込んだ上で、ほぼ渾身に近く、だが殺しはしない。 「構わないよ。完膚なきまでに、叩き潰してやるさ―――」 ――――――そして、再び激突する。 ~~~~~侵入から22分後~~~~~ 「今の音…上からね。アイツ、大丈夫かしら」 私はパネルを片手間で操作しながら屋上の方向を見上げた。 さぁて、私は私の仕事っと。あ、もう一つすることあるわ。 「それと…あ、そうだそうだ」 ポケットから携帯を取り出して耳に当てる。 さてさて、連絡相手はどちらさん♪っと。 『もしもし?』 数回のコール音の後、向こうから声が聞こえてくる。 相変わらず胡乱げな声だが、慣れると言うほど気にならない。 「もしもし、私。吉永だけど」 『ああ?お前が電話なんて珍しいな』 意外そうな声が返ってきた。 ま、確かにあんまりこいつに電話することは無いわね。 男風情に電話する事なんかある訳無いわよねぇ。 「ま、そう言わないでよ―――粉原」 『へいへい。で?なんの用だよ?』 電話をかけた相手は粉原だった。 ま、あいつも風紀委員だから通報代わりになるかと思ったのだけど… と、事情を説明していると口を挟まれた。 『ああ、その話か。…あん?まだ奴の言ってた時間にゃ早いが…』 「は?何の話よ?」 奴?っていうか何でコイツはさしも当然の様に事情を知ってるの? 誰かから事情を聞いている、となれば…一人しか居ない。 ―――――そう、四方視歩。 「あいつ…どこまで…!」 事情は何となく察した。 が、予想通りなら後でまたお説教が必要ね。 だが、驚くのはまだここからだった。 『別に良いけどよ、面倒事ってのは続けて起きるもんだよな』 「それには同意するけど、何よ?他にも何かあったの?」 気になる言い草だった。あるで今日、他の問題も併発したかのような。 そして次のセリフに私は思考停止するのだった。 『ああ、樹堅の奴が風邪で寝込んでてよ。入場のやつが見舞いに言った様だが…』 「――――は?ちょっと待って、樹堅が風邪?それ、ホントなの?」 おかしい。なら、視歩は一体どうやってこの組織の内情を調べたんだ? 幾らアイツでも、今日一日にあそこまで詳しく調べられる筈がない。 ならば、アイツは事前に調べていた事になる。 何のために?これではまるで、今日メアリに会って、巻き込まれる事が分かっていたかの様じゃない。 『お、おう。そこまで慌てられたとなりゃあ、樹堅も喜ぶんじゃねぇか?お前、そんな感じだったか?』 「あ、いや、そういうわけじゃないわ。ああ、でも樹堅にはお大事にって伝えといて」 疑問は尽きないが、いつまでも電話しているわけにはいかないので、切り上げる事にする。 「ま、まぁいいわ。とにかく、出来る限り速く来て頂戴」 それだけを言い残して、電話を切る。 そもそも、事情が伝わっているのなら、わざわざ私が説明する事も無い。 そして、何を考えているのか分からない、私達のリーダーを思い浮かべる。 「ったく、どこまで考えて動いているのやら」 溜息をつきながら、また操作パネルへ向き直る私だった。 ~~~~~侵入から30分後~~~~~ 戦闘は更に過熱を極めていた。 ヒット&アウェイの戦法を取り、しばらくの間はこう着状態が続いた。 「っ…!くそっ、すばしっこい奴め…!」 忌々しそうなセリフを吐きながら、表情は嬉しそうだ。 ま、彼がどういう人間なのかこれだけで分かってしまうわね。 「一発でも当たると拙そうだからね。当たってはやれないね」 実際、普通に当たると結構やばい。 一撃KOとは行かないだろうが、大きなダメージは避けられない。 「はっ!なら是が非でも当てたくなるな!」 そしてこの相手、これが中々侮れない。 自分の能力の強みを自覚し、自分の土俵で戦う。 (別にダメージが無いわけでは無いだろうけど、怯まないのは危険ね) 既にこちらの強みを理解し、その速さを捉えるために敢えて攻撃を受けてから反撃する。 自分のタフネスに物を言わせて必殺の一撃を叩き込む。 「はっ!さあ次こいよっ!」 最早向こうから攻めてくる気はまるで無いらしい。 さぁて、捕まらないように攻めなくては。 相手の構えを良く見る。彼が想定しているのは正面からの攻撃か。 そして私の動きを見つつ臨機応変に受け止める方向を変えるつもりだろう。 (なら、後ろからがセオリーか。フェイントを交えつつ背中に叩き込む) 思考を止めると同時に前に足を踏み出す。 一歩、右足に力を込めて強く地面を蹴った。 「………っ!」 彼が笑みを浮かべる。来るべき攻撃を受けるため、体に力が込められる。 そして二歩、左足が着地し既に体は彼の目の前に肉薄する。 (タイミングは完ぺき。更にここから加速する!) 私も笑みを返す。こちらも攻撃に移るために体に力を込める。 やがて三歩、視界が一瞬で流れ右足が彼の後ろに着地する。 まだ、彼は私のほうに反応していない。 後ろに回りこんだ勢いそのまま、その回転力を回し蹴りに回す。 「―――――遅いっ!」 鋭い回し蹴りが脇腹に突き刺さる―――が、その足は振り抜かれない。 それなりに全力に近い蹴りは、それでも彼の肉体に阻まれる。 「ちっ!これでも足りないか…!」 最速で足を振り下ろし、地面に両足をつけ片足立ちの不安定な体勢を脱する。 寸での所で蹴りを入れた脇腹に彼の右手が来ている事に気付く。 (あぶなかった!掴まれてたら終わりだった!) 安堵しつつもまだ休めない。不発に終わった右手の動作が空を空しく切る。 だが、彼の攻撃はそこでは終わらず、まだ次の行動に移れない私へ反撃を続ける。 空振った右手が通り過ぎ、体が回転する。 (間に合え、間に合えっ!) 体を引いて、攻撃範囲を脱しに掛かる。 だが、回転する体の向こう側から十分な威力を持った左手が裏拳の要領で迫る。 「喰らいなぁぁぁぁぁぁっ!」 ぎりぎり間に合わず、拳の先が回避できないタイミングでそこまで来ていた。 右腕をガードに回し、攻撃を受け流す為に備え、能力を発動する準備を整える。 (間に合わないか…!タイミングを合わせろ。ダメージを最小に抑える!) 彼の左手と私の右腕が接触する。 筋肉のとれる挙動の全てと、能力でのブーストを全部攻撃を受け流す事に回す。 「―――っ、ぁぁはあぁぁぁっ!!」 彼の左手が振りぬかれ、私の体が錐揉み回転しながらすっ飛ぶ。 吹き飛ぶ視界の中で彼の舌打ちをした顔が見えた。手応えが無かったからだろう。 「―――――――っ!」 吹き飛ばされながらも体勢を持ち直す。 錐揉みが止まったとき、私の体は廃工場の屋上から飛び出していた。 追撃は来ていなかった。目をやると膝に手をついて息を吐いている彼が見える。 先ほどの回し蹴りは、怯みこそとれなくともダメージは奪えたと言う事らしい。 「さあて、ダメージはほとんど抑えられたけど…」 横向きの推力を風で殺し、体が自然落下し始める。 ゆっくりと下降し始める中、とりあえず腕を組んで考えを巡らす。 (どうしたもんかな。動きを封じるために何か手を打たないと) 勝負を決める攻撃を入れるには隙を作らないとならない。 しかし、力では確実にあちらが上。となれば単純に抑え込むのは無理。 ならば、何か他の何かの力を使って抑え込むべきな訳。 その場合何を使うのか、さてさてどうしたものか。 「…………………あ」 閃き、瞼を開く。開けた視界に写るのは先ほどまで立っていた屋上が徐々に遠ざかる光景。 そんな中で、落下している体に感じる風。 下から上に流れる風の流れが私の体を持ち上げようとする。 (―――――これだ。これなら抑えられる) 背中に地面が迫る、ニヤリと笑って視界を紅く染める。 そして巻き起こる暴風――――風が吹き終わった後、私の姿が掻き消えた。 ~~~~~侵入から33分後~~~~~ レーダーを見ながら俺は歯噛みしていた。 今も、屋上では二人が戦っている。 (くそっ、あの襲撃者、強い…!何か出来る援護は無いのか…!) 屋上にも確かに仕掛けはある。 屋上には上空から侵入してきた敵に対応するために、爆弾が仕掛けてある。 (だが、上で頭が戦っている以上、爆弾での援護は不可能だ) 爆弾を起爆させるための端末には、爆弾の位置が表示された画面と起爆スイッチが設置されている。 そのスイッチに指を掛け、離す。 今の頭が俺の指示を聞くとは思えない。 頭だけ屋上から撤退してくれれば爆破できるのだが… (今は、頭が勝つ事を祈るしかないか…) 一緒に侵入したはずの残りの二人が、2階部のとある一室に留まっている事に疑問を感じつつ それでも俺の意識は其方へは向かう事が無かった。 そして俺は生体レーダーを見ながら、上で行われている戦いに思いを馳せた。 ~~~~~侵入から35分後~~~~~ 膝に置いた手を離し、一度膝を強く叩く。 気合を入れなおして、顔を上げた。 「よう…お早いお帰りだったな」 屋上から叩き落した筈の敵は、2分前と何も変わらない様子でそこに立っていた。 俺の皮肉を込めたセリフにも皮肉を三倍に変換した様な笑みで 「ああ。あまり君を待たせるのも悪いからね」 だなんて言ってのける。不思議と怒りは湧かず、代わりに浮かぶのは高揚感。 愉快そうな彼女は、やっぱり愉快そうに口を開く。 「まぁ、もう少し焦らしても良かったとは思うんだけどね。…脇腹、痛むんだろう?」 それをお前自身が言うのかよ。はっ、憎たらしい女だぜ。 だがその軽薄さが許される程には、彼女は強敵だった。 さっきの一撃も殆ど手応えが無かったし、これは本格的にヤバイ。 「うるせぇよ。自分でやっといて何て言い草だよ、てめぇ」 再び構える。相手の攻撃に備えると同時に側面に気配、間髪入れずに脇腹に衝撃。 できる限り速く反応し右手を振りぬく、が当たらない。 (ああ、分かってた事だが。こいつ―――巧い!) 動きの速さ、能力の使い方、それらを踏まえて全てが巧い。 全方位から絶え間なく襲い来る風を用いた牽制攻撃、そしてそれに気を取られれば鋭い打撃。 「―――――ふっ!」 目に風を感じ、思わず瞬きしてしまう。 開いた目が移す景色の中には既に彼女の姿は無く。再び背後から気配、間髪入れず衝撃。 思わずその怒涛の、なおかつ緻密な攻め足に歯噛みする。 なるほど確かに戦闘センスだけでも天才的だ。 そして、見た目では全く分からないが、こいつ凄まじく鍛えられている。 その細腕からは想像もできないほど力が強い。 「っ!~~っ、ちょこまかと、うっとおしいぜっ!」 先程と比べ、攻撃が全く当たらないといった事は無くなった、が。 ますます状況は悪い。当たってはいるが、全てが受け流されダメージの与えられない接触。 まず気付いたのは彼女の闘い方。それが既存の格闘術の全てに属さないという事。 いや、俺自身格闘に明るい訳では無い。ただ、彼女の戦い方はそもそも始まりの一点からして異なった。 「くっくっくっ。ちょこまかするのが得意なのさ」 そう、その一点とは『地に足が着いていないこと』 全ての格闘技は、基本形として地面に足が着いている事が前提だ。 当たり前な話。―――普通の人間は、空を飛べない。 だが目の前の女は、飛べるのだ。限りなく自由に、空を舞える。 「ぬかせっ!ぜってぇぶっ飛ばしてやる!」 腕を振りぬく。相手の腕を捉えた、しかしまるですり抜ける様に手応えは無い。 理屈は単純、風に舞う布を打ってもそれは大した意味を持たない。 奴はそれと同じ事をしている。いや、それを俺に強いていると言うべきか。 (拙いな…普通に当ててもダメージを殆ど与えられてないとなると、確実に捉えなければ受け流されるか) だが、こちらにできるのは先程の様に受け止めてから反撃、という手法だけだ。 でなければこんな速度で動く相手を捕らえられる道理は無い。 受け流される事なく、確実なダメージを与えるには。 ―――体のどこか一部を、この手で掴む。それしか無い様だった。 (だがこちらのダメージも、あんまり無視できる程じゃねぇな…) 受け止めても怯みはしない―――だからこそ戦える―――がダメージはある。 先程の蹴りはかなり効いた。思わず膝を折りそうになった位だ。 (さっきのアイツの軽口は、的を射ていた訳だ。気に喰わん) 長期戦に持ち込まれると不利だ。だがこちらから仕掛けるには手札が無さ過ぎる。 要するにジリ貧、ジリー・プアー。何かきっかけが無ければ… そこで気付く。彼女の動き、そこに感じる違和感。 (…ん?なんかコイツ、焦ってねぇか?) 表情には殆ど出ていないが、攻めのリズムが速くなってきている。 それは攻め足を強めた、とは見えない。勝負を決めたがっているのか…? その疑問に気を取られる隙も無く、彼女の姿が掻き消える。 「―――――ちっ!?」 気配が現れたのは右側面、いやそれは一瞬前までの話。 既に気配は左側面に現れ、一瞬の衝撃。そして気配は背後へ。 先程と同じ、フェイントを交えた攻めが展開される。 しかしそのスピードは先程の比ではなく、最早目で追うなどと言う域は超えている。 風を殴っているかの様な手応えの無さに反して、彼女の攻撃は鋭く重く。 (くそっ、速い…!) 最早、反撃に移るのは今しばらく不可能そうだ。 再びこのスピードに慣れるまで、俺の体力が持ってくれるかどうか――― ―――とか考えていると、目が一瞬合った。そこで気付く、彼女の目の色の変化に。 灰色だったその瞳は、今は禍々しく紅く輝いていた。 (―――――っ!) 一瞬身が凍った。そしてその隙は見逃されなかった。 気付いたときには既に彼女が肉薄してきていて、再び目が合っていた。 対応に移るより速く、攻撃準備を完了した彼女の拳が迫っていた。 (だが、受け止めてみせる!) 腹へと繰り出される拳打に対して備え、力を込める。 万事休すのピンチは千載一遇のチャンス、このタイミングで反撃に移る。 これを受け止めて、反撃で決めてみせる! ―――――しかし、予期していた衝撃は来なかった。 視界が捉える光景と、体が感じる現状が噛み合わない。 (…………………は?) 拳は確かに腹に届いているのに、衝撃が来ない。 つまり、これは…寸止め? そう、彼女は当たる寸前で拳を止めた。 まるでポーズボタンを押したかのような、おかしな光景だった。 ―――――そして、なによりも 事態を理解するまでに掛かったこの時間は、致命的だった。 まるで三日月の様に、彼女の口の端が持ち上がる。 (しまった…もう、間に合わねぇ…!) 腹の辺りで寸止めされていた拳が動く。上へと昇り、握られた拳が開かれ、その掌が、俺の首を捉えた。 ~~~~~突入から41分後~~~~~ (くそっ!このままじゃあ頭が…!) 彼は焦りの形相で歯を軋ませていました。 屋上では今、彼のリーダーが窮地に陥っていたからです。 このアジトの主要な位置にはカメラがついている、らしい。 そしてそれには屋上も含まれていました。 (だが俺が行ったところで出きる援護は無い…) セリフの割りに彼の表情は動きませんでした。 もともと、感情が表情に変換されにくい性質なのであろう事は明白でした。 (…いや、今の奴の立ち位置ならば、やれるか…?) そういって手元の端末を操作し始めます。 どうやら彼は、屋上に仕掛けられた爆弾を使用するつもりらしいですね。 (この位置関係なら、やれる…!) 端末に表示された爆弾の位置と、生体レーダーに表示された頭たちの位置を見比べます。 一番近場にあったのは、侵入者の直ぐ後ろにある爆弾。 彼はそれに指を掛けました。そして息を吸い込み、落ち着いてから。 (頭の位置は…離れているな。よし、爆破す「だめですだめです。それじゃあいけません」 ああ、そういえばこのモノローグが誰の物なのか、良く分からないままでしたね。 では、自己紹介と行きましょう――――― 「―――はいはい。私は、篠崎メアリと申しますわ」 ―――――そう、皆様の言うところの腹黒メイド、篠崎メアリですわ。 あ、今日は初めてフルネーム名乗りましたね。その割にはフルネームで呼ばれた気が…? 「なっ!?貴様、一体何時から、いやそもそも何故ここに!?」 そんな事を気にしている場合なんでしょうかね? 参謀と呼ばれる割に、不測の事態に弱いんでしょうね。 「何時から、と聞かれれば3分ほど前から。何故ここにと言われれば、貴方が良からぬ事を考えていそうでしたので」 三分ほどの潜伏期間を持ったのは、布石を打つ為。 何故ここに、の部分は嘘ですね、はい。正解は吉永さんの指示ですから。 「ああ、そういう質問では無いですよね、分かってます。でも参謀を名乗るのなら、もう少し伝わりやすく言わないと」 彼が聞きたいのは…ああ、これですよね。生体レーダーに映った二つの影。 彼にとっては私はまだ二階の一室に留まっているはずなのですから。 「このレーダーが疑問なんですね。まぁ、簡単に言いますとハッキングですよ」 そう、ハッキング。誰がしたのか?それはまあ吉永さんですよね。 そして何時?まあ、それもおあつらえ向きの時間がありましたしね。 「停電したとき、センサーのほうに気を向けるべきでしたね。もしかしたら気付けたかも知れないのに」 どんな精密機械も、起動時には守りが薄くなる、と吉永さんは言っていた。 四方さんの試したい事、それは停電からの復帰でこの部屋の場所を特定する事。 そして吉永さんの頼みもまた、停電からの復帰の隙を突きたかった、という事。 いやはや息が合ってるようで何よりですよね、あの二人。 「あの時…くそっ、まさ「はいはい、喋らなくていいです。貴方に出番はここでおしまいですから、セリフは必要ないですよ?」 手を引きました。キリキリと音を立てた糸が彼の体を封じます。 少しでも動けばその糸を持ってその四肢を切り裂く、という脅しを込めて視線を送る。 「まぁ、別に私はもうする事無いんですよ。このまま時間稼ぎしとけば役目は終わりですよ」 この人には戦闘能力無いので、拘束する必要もまるで無いんですよね。 残ったスキルアウト達は、ここに来るまでの間に全て片付けましたから、あとは屋上の二人でおしまいです。 ―――そして、終幕の音が響いた。 それは上からではなく、下から聞こえた轟音。 言うなれば、人が屋上から落下した様なそんな音。 終わった。四方さんと、吉永さんはきちんと終わらせた。 なら、私も終わらせないといけないですね。…ちゃんとケリをつけなくては。 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 「終わったようですね。これで、私達の完全勝利ですね。■■さん?」 そして、私は彼の名を呼んだ。なぜ彼の名前を知っていたのか、ですか? ああ、それはそうですね。何故かと問われましたら、そもそも私は――― 「私を含めた三人に潰されるような組織なら、見限って正解でしたね」 ―――仲間だったからだ。この男と、そして屋上で戦っている、彼とも。 短い時間でしたが、確かにこの男達に近づいたのです、私は。 「リーダーさんも期待はずれでしたし、今は清々していますよ」 この組織に近づき、屋上で戦っているリーダーの彼に近づき、見極めて。 ――――――そして見限って、裏切って、逃げ出した。 「だからこそ、貴方達には一言、言っておかないといけないんですよ」 リーダーさんも、そして参謀さんも、歪んではいたけれど。 でも彼らは彼ら二人だけで完結していたから…入る隙は無かったから。 だから見限った。恐らく、この物語において彼らの私への復讐は正しくて――― 「――――――裏切って、ごめんなさい」 ―――――――この物語における『悪』は、私だ。 ~~~~~突入から40分後~~~~~~ 場所、廃工場の屋上。状況、敵を右手に掴んで持ち上げている。 次に取るべき行動は?私は、右手に力を込めた。 「捕まえた。これで、終わりだよ。リーダーさん?」 彼は苦しげな顔をしている。 首を絞められていること自体は苦しくは無いだろう。 (しっかし、硬いな。本気で握っているのに、ちっとも指がめり込んでない) 恐らく彼が苦しそうなのは、この状況の移るに辺り、首を強打した掌の影響だろう。 まあ、それも直ぐに回復するだろうけど。 「は、はっ…!この、程度で、捕まえたつも、りかよ…?」 不適に笑う。言う通りで、早急に次の手を打つ。 「心配は要らないな。この程度じゃすまないさ」 そして私は、手を離した。 支えを失った彼の体が地面に落ち―――――――無かった。 「―――――――あ?」 彼の体は宙に浮いていた。 地面に落ちる事は無く、空中に留まっていた。 「……っ、くそっ!こ、これじゃあ…!」 手足をもがいて、抜け出そうとするが叶わない。 なぜなら、それは簡単な理屈。 「幾ら力が強くても、触れる物が無ければ意味は無い」 驚愕した様な表情の彼の方を向いたまま、後退する。 そして、言葉を続けた。 「『地に足が着いていなければ』動けない。人は、空を飛べないんだからね」 飛べる私が言うのが、良いのか悪いのか。 いや、それは私に限った話じゃないし、多分そこには価値が無い。 「まあ、簡単に言えばさ。風を使って君を持ち上げているのさ」 それを行うには、まず彼に地面から足を離してもらう必要があった。 だから、ここまで手こずったのだけど。 「もう、逃がさない。この一撃で決める!」 構えた腕に力が、風が集まる。 威力を調整、彼の護りを打ち抜き意識を奪う、そんな一撃。 「さよならだ、リーダーさん」 視界が流れていく。限りなく時間が凝縮されていく。 もはやもがくだけの彼の体に、その一撃が突き刺さった。 ~~~~~作戦終了~~~~~~ 私は今、屋上を飛び降りて地面へと降り立っていた。 もちろん、屋上から落下していった彼を追いかけて、だ。 「はっ………。負けた、ぜ…」 彼は息も切れ切れに、苦しげに声を絞り出した。 しっかし… 「呆れた。アレを受けて、屋上から落下して、まだ意識があるのかい?」 「安心しろよ…。意識はあっても、もう体は動かねぇからよ…」 流石に限界が来てはいたらしい。 握りこぶしを解いて、彼に歩み寄る。 「ああ…楽しかった…。完膚なきまでに、負けた…」 彼の顔もとにしゃがみ込み、語りかける。 「これが、君の望んでいた事だったのかい?」 全てをやり切ったかのような、清清しい表情を浮かべる彼に、尋ねてみた。 返事は、聞かなくても分かってるんだけど。 「そうだ。ただ、強い奴と戦う。それだけ」 そう言うと、彼は顔を廃工場の方へと向けて、付け加えた。 「参謀がさ、俺の望みを叶えるなら、組織の長になればいいって、持ちかけてきたんだよ」 なるほど。戦闘狂の彼を頭に据えて置けば、周りへのインパクトは強い。 そして彼はなによりも… 「でもさ、スキルアウトのリーダーが能力者って、おかしな話だろ?」 だから、彼は能力者への反抗と言った、普通のスキルアウトの行動を取らなかった。 「大炎上」は、能力者ではなく、同じスキルアウト集団への攻撃しか行わなかった、と聞いている。 「ああ、言わなくても知っている。君達が、所謂『悪』では無い事は」 全部、知っている。 恐らく、メアリへの復讐は正しさを伴う物だった事を。 「全部知ってて、あのメイドの仲間だって言うのか…?」 その通りだ。でもそれは… 「君達だって、仲間だったんだろう?」 嘘では無い。ただ一つだけ言ってないだけで。 私はね、君たちの事も救いに来たんだよ、と声には出さない。 わたしの目的は、全て果たせた。なら、最早多くを語る必要は無い。 それじゃあ、と腰を上げつつ。踵を返しつつ、片手を上げて一振り。 とりあえず必要事項は伝えておく事にしよう。 「もうじき、風紀委員達がココに来るだろう。とりあえず、銃刀法違反は免れないな」 笑いかけた。彼は、不可解な顔をしていたけれど、説明するつもりはないんだ。 だからこれが最後。付け加える様に、言った。 「まあ、君達はここで捕まっておいた方が良いって事だよ。分かる日が…ま、来ないんだけどね」 最後まで不可解な顔の彼を横目に、私はその場を去った。 さて、戻ろう。仲間達の所へ。まだ―――やるべき事は残っている。 ~~~~~作戦終了後~~~~~ 「や、お疲れ様。芙由子、メアリ。こっちは無事に終わりました、と」 四方さんが、片手をふりふりとぶらつかせながら、声を掛けてきました。 どうやら、全部終わったようです。 「おかえり、視歩。…後で話があるから」 そして吉永さんの顔が恐いです。 一体何があったんでしょうか…? 「おいおい、そんなに怒るなよ、芙由子」 冷や汗を浮かべながら手を振る四方さん。 さしもの四方さんも、吉永さんは恐いんでしょうかね。 「もうすぐ、粉原達が来るわ。面倒なことになる前に、帰りましょう」 返事をせずに、吉永さんは淡々と言葉を紡ぎました。 四方さんも、やれやれと肩を竦めて歩き出します。 「あ、そうだ。メアリ」 おや、声を掛けられましたね。何用でございましょうかね? …なんて、そんなの予想がつきますけど。 「行くとこ、無いんでしょう?ひとまず、私達についてくると良いわ。というか、視歩は仲間にする気満々だし」 代わって吉永さんが続けました。 多分、そう言われると予想はしていたんですよ。 「そう言って頂けるのは嬉しいのですが、その…」 事情が事情なだけに、助けてもらった時点で後ろめたい。 なのに、さらには居場所まで与えられる訳には。 だが、次に続く言葉は私を絶句させるには十分だった。 「ああ、全部気付いてるから言う必要は無いよ。今回の件、全部メアリが悪いんだろう?」 ―――――――――――――――ほえ? 思わず呆けた声が上がる。ナニヲイッテイルノコノヒトタチハ? 「分かっててここまでしたのか…。アンタ、やっぱ馬鹿よね?」 「おいおい、そこまで言う事は無いだろう?」 目の前の二人は、それでも尚、能天気な会話を続けている。 えと、それはつまりその、全部分かってて、それでも私を迎えると? 「あの、どうして…?」 なぜそうまでして、私のような人間を仲間にしようとするのか。 疑問で仕方なかった。どうして… 「ま、強いて理由を挙げるとすれば、それだけの価値が君にはあるから」 「私達の活動に、善悪って別に問うてはないしね。悪人だろうと、仕事すりゃあOKよ」 にべもなく言いのけた。 …ほんとうに、とんでもない人たちだ。 「私に選択肢は無さそうですね、どうにも」 「そう、私達の仲間に成るしか無い、という事なのさ」 そう言って、彼女は私に手を差し伸べた。とても良い笑顔で。 これを取れば、私はまた仲間を得る。しかし、また失うんじゃないのか? 他ならぬ私の手で、彼女らを捨ててしまうのでは? そんな逡巡を見透かしたかのように、四方さんはニッと笑うと、言った。 「私達を、そう簡単に裏切れると思わない事だ。…あんまり楽しいからさ、裏切る気なんて起きないだろうからね」 私の考えは纏まらないまま、それでも体は正直に動いていた。 ―――――私の手は、彼女の手を、握った。 「―――ようこそ、我らがチャイルドデバッカーへ」 ~~~~~とある猫娘達の日常 5話 とある猫と蜘蛛の邂逅 終~~~~~ 「まて。こんな所で終わらせるわけ無いでしょうが。説明しろ説明!」 ~~~~~後日談、というか今回のオチ~~~~~ 「で、全部説明してもらうわよ」 全てが終わって、デバッカーの拠点に帰ってきた後。 余程疲れていたのか、すぐさま眠りに落ちたメアリを開いたベットに叩き込んだ後。 「か、顔が恐いんだけど…」 私は芙由子に詰め寄られていた。 これが俗に言う「壁ドン」か。なんていう心中穏やかじゃない状況だこれ。 「今回の件は、なんかおかしかったのよ。アンタ、何か知ってるんでしょ?」 ま、今更隠す必要も無いから種明かしと行こうか。 まず何処から話そうか… 「で、何処から聞きたいんだい?」 「まず、アンタは何故あのスキルアウトの内情を知っていたの、って所ね」 おや、そこに最初から気付かれるとは。 ふむ…すこし長くなるかな? 「結論から言うと、私がすこし前から彼らのことを調べまわっていたから、だね」 「やっぱりか…。で、その理由は?」 さぁて、ここからが説明が難しい。 何て話した物やら。ま、とりあえずはこれかな。 「彼らを死なせない為だね」 「………わかった。先、話して」 まあ、不可解だったろうね。 理由を話すとなると、全部ばれちゃう事になるかな… 「彼らは、すこし群れ過ぎた。そして、急に成長し過ぎたのさ」 そう、それは恐らくリーダーの人望故に、参謀の有能ゆえに。 「だから、目を付けられた。出る杭は打たれるものだよ?」 その言葉を聞いて、はっと顔を上げる。 事の真相に気付いたんだろう。そう、彼らは狙われていたのだ。誰に?―――それは 「そうか…『トループ』…!」 そう、学園都市の裏の治安維持を目的とした暗部組織『トループ』 彼らはその組織の抹殺対象に挙げられていたのだ。 「なるほど、それでアンタはわざわざアジトに乗り込んでまで、あいつらを風紀委員に渡したかったのね」 その通り。あくまでトループは裏の治安維持を行うのであって、表の治安維持を担う風紀委員が捕らえた相手を 横取りする様な事は無い。つまり、先に風紀委員に渡してしまえばそれで終わる。 「連中は過激だからねぇ。武装したスキルアウト集団、となれば―――消されていただろうね」 それは避けたかった。幾らなんでも知ってしまえば見過ごせない。 それを見過ごすのは、見殺しと言うのだ。私の誓いに触れてしまう。 「ふぅん…。じゃ、次の質問よ。アンタ、もしかしてメアリが居るのを分かっててあの辺りを歩いてた?」 げげ、なんでそこまで分かったし。 顔に出たのか、芙由子が溜息を吐いて頭を抱えた。 「はい、もうわかった。メアリもトループに狙われていた。でも、メアリの場合は風紀委員に捕まる理由が無かった。だから…」 正しくは、風紀委員にそれを立証できないって所なんだけどね。 でも概ね合っている。それで、大体正しい答えだ。 「正解だ。メアリをトループの抹殺から回避させるには、方法は一つだった」 そう、それを先程達成したのだ。 仲間に引き入れる。悪い言い方をすれば、監視下に置く。 「方法ってのが、メアリに首輪をつけるって事だったわけね」 ――――前言撤回。芙由子の方がよっぽど言い方が悪かった。 というか、首輪って言い方するかね、フツー。 「……自分で、言ってからダメな発言だと気付いたわ…。メイドに首輪…」 自分で自分にダメージを与えるとは、器用な事だ。 まぁ、確かに背徳的よね、メイドに首輪。 「あ、あともう一つ気になってたんだけど。メアリって何であいつらに追いかけられてたのに、あんな所にいたのかな?」 あ、そこに触れちゃうのか。出きれば気づかなくて良かったんだけど…。 まぁ、ありきたりな対応で返してみよう。 「ま、それは追いかけられてるから、とかが妥当なお話だろうね」 となれば何から追いかけられているのか、という話だ。 その場合、槍玉に挙げられるのはやはり。 「スキルアウト風情共は、近くに居た事をチャンスだと言っていた。なら、追いかけていたのは、トループね」 正解―――とは言えない。だが遠くは無い。 トループが追いかけていた訳では無いが、それはトループの意思でもあった。 「要するに、私な訳だけどね」 「―――――は?」 ―――当然の反応。つまり今回の事件は全て、発端から終わりまで。 「つまり、アンタがメアリを追い詰めて、メアリをアンタが助けて。その過程でスキルアウトを潰して助けて――」 最初から全てをなぞっていくと、結論としては。 「全部―――アンタが仕組んでんじゃないのっ!?」 つまりはそういう事である。今回は全て私の差し金で、全てマッチポンプ。 真相を話すと、メアリを追いかけていたのも「大炎上」を潰したのもトループとの交渉の結果だったりする。 「くっくっくっ。いいじゃないか。丸く収まったんだし」 「よくねぇよ…」 最後まで、締まらないわねぇ…と、芙由子が呟き――― ――――――今日のお話はこれでおしまいだ。
https://w.atwiki.jp/new2souennokanntai/pages/1002.html
トップページ イベント攻略 [部分編集] 報酬 勝利回数 1 Hard ★5 塚原二四三 VeryHard ★6 塚原二四三 Extreme ★7 塚原二四三 Inferno 5.5周年コイン x1,000 [部分編集] Hardの編成 敵戦力:193564 陣形:輪形陣 重油消費:30 時間・天候:朝・雪 敵構成 : 戦艦、軽巡、軽巡、駆逐、駆逐、駆逐 敵旗艦技 : 機関破壊4(敵艦速力 -20%) 敵戦艦戦技 : 重甲ナル装甲網、天日ノ守護、天道ノ憤怒 技能 : 敵軽巡戦技 : 絡みつく荊棘、夜嵐に駆る雷槍、荒波の支配者、轟く戦慄、機略縦横、連綿たる布陣 技能 : 敵駆逐戦技 : 吹雪く戦慄、仰ぎみる細雪 x3、海中の吃驚、意継の閃爆、破装旋風 技能 : 未分類技能 : 雷撃上昇5、対潜上昇5、戦技発動上昇5 VeryHardの編成 敵戦力:645212 陣形:輪形陣 重油消費:30 時間・天候:朝・雪 敵構成 : 戦艦、軽巡、軽巡、駆逐、駆逐、駆逐 敵旗艦技 : 機関破壊4(敵艦速力 -20%) 敵戦艦戦技 : 重甲ナル装甲網、天日ノ守護、天道ノ憤怒 技能 : 敵軽巡戦技 : 絡みつく荊棘、夜嵐に駆る雷槍、荒波の支配者、轟く戦慄、機略縦横、連綿たる布陣 技能 : 敵駆逐戦技 : 闇夜に紛れる風、吹雪く戦慄、仰ぎみる細雪 x3、海中の吃驚、意継の閃爆、破装旋風 x2 技能 : 未分類技能 : 雷撃上昇5、対潜上昇5、戦技発動上昇5 Extremeの編成 敵戦力:921737 陣形:輪形陣 重油消費:30 時間・天候:朝・雪 敵構成 : 戦艦、軽巡、軽巡、駆逐、駆逐、駆逐 敵旗艦技 : 機関破壊4(敵艦速力 -20%) 敵戦艦戦技 : 重甲ナル装甲網、天日ノ守護、天道ノ憤怒、逆境からの猛攻 技能 : 敵軽巡戦技 : 絡みつく荊棘、夜嵐に駆る雷槍、荒波の支配者、轟く戦慄、機略縦横、連綿たる布陣 技能 : 敵駆逐戦技 : 闇夜に紛れる風、吹雪く戦慄、仰ぎみる細雪 x3、海中の吃驚、意継の閃爆 x2、破装旋風 x2、激情の五月雨、激雷ノ舞 x2 技能 : 未分類技能 : 雷撃上昇5、対潜上昇5、戦技発動上昇5 Infernoの編成 敵戦力:1106085 陣形:輪形陣 重油消費:30 時間・天候:朝・雪 敵構成 : 戦艦、軽巡、軽巡、駆逐、駆逐、駆逐 敵旗艦技 : 機関破壊4(敵艦速力 -20%) 敵戦艦戦技 : 重甲ナル装甲網、天日ノ守護、伝播する鋼の意志、天道ノ憤怒、逆境からの猛攻 技能 : 敵軽巡戦技 : 絡みつく荊棘、夜嵐に駆る雷槍、荒波の支配者、轟く戦慄、機略縦横、連綿たる布陣、漆黒の襲雷-改 技能 : 敵駆逐戦技 : 闇夜に紛れる風、吹雪く戦慄、仰ぎみる細雪 x3、海中の吃驚、意継の閃爆 x2、破装旋風 x2、激情の五月雨、激雷ノ舞 x2 技能 : 未分類技能 : 雷撃上昇5、対潜上昇5、戦技発動上昇5 ↓コメント等 名前 閲覧数 今日: - 昨日: - 合計: -
https://w.atwiki.jp/dmps_fun/pages/436.html
オープニング 第1話 前編 第1話 後編 第2話 前編 第2話 後編 第3話 前編 第3話 後編 エンディング
https://w.atwiki.jp/new2souennokanntai/pages/474.html
トップページ イベント攻略 [部分編集] 報酬 勝利回数 1 Hard ★5 阿部俊雄 VeryHard ★6 阿部俊雄 Extreme ★7 阿部俊雄 [部分編集] Hardの編成 敵戦力:24423 陣形:梯形陣 重油消費:30 時間・天候:夜・晴 敵構成 : 戦艦、重巡、戦艦、潜水、重巡、戦艦 敵旗艦技 : 全能力覚醒4(全能力 +10%) 敵戦艦戦技 : 歴戦の護り、甦兆の黒鋼、洋上ノ城 技能 : 敵重巡戦技 : 不屈の意思、高揚ノ号令、Turkey Shoot、甦兆の黒鋼、士気高揚の奮迅 技能 : 敵潜水戦技 : 黒鉄の桎梏、晴嵐ノ嵐、無音連撃、 技能 : 未分類技能 : 火力上昇5、雷撃上昇5、装甲上昇5、対空上昇5、速力上昇4 VeryHardの編成 敵戦力:81408 陣形:梯形陣 重油消費:30 時間・天候:夜・晴 敵構成 : 戦艦、重巡、戦艦、潜水、重巡、戦艦 敵旗艦技 : 全能力覚醒4(全能力 +10%) 敵戦艦戦技 : 歴戦の護り、甦兆の黒鋼、洋上ノ城、超究大和砲、ヒンツェバースト、弾雨の砲熕 x2、 技能 : 敵重巡戦技 : 不屈の意思、高揚ノ号令、Turkey Shoot、甦兆の黒鋼、士気高揚の奮迅 x2 技能 : 敵潜水戦技 : 黒鉄の桎梏、晴嵐ノ嵐、無音連撃、 技能 : 未分類技能 : 火力上昇5、雷撃上昇5、装甲上昇5、対空上昇5、速力上昇4 Extremeの編成 敵戦力:116298 陣形:単縦陣 重油消費:30 時間・天候:夜・晴 敵構成 : 戦艦、重巡、戦艦、潜水、重巡、戦艦 敵旗艦技 : 全能力覚醒4(全能力 +10%) 敵戦艦戦技 : 歴戦の護り、甦兆の黒鋼、洋上ノ城、桑仙樹の護り、フレアリロード x2、超究大和砲 x2、ヒンツェバースト 技能 : 敵重巡戦技 : 不屈の意思、高揚ノ号令、夾叉レーダー射撃、Turkey Shoot、甦兆の黒鋼 x2、士気高揚の奮迅 x2 技能 : 敵潜水戦技 : 黒鉄の桎梏、晴嵐ノ嵐、無音連撃、翼絶の猛雷 技能 : 未分類技能 : 火力上昇5、雷撃上昇5、対空上昇5、速力上昇4 ↓コメント等 名前 それな、、、まあ私は空母主力だからハードで精一杯だったけど - 名無しさん (2021-05-30 15 51 45) Extremeが攻略できない… - あ (2020-04-11 02 45 30) 閲覧数 今日: - 昨日: - 合計: -
https://w.atwiki.jp/new2souennokanntai/pages/459.html
トップページ イベント攻略 [部分編集] 報酬 勝利回数 1 Hard ★5 W・ハルゼーJr. VeryHard ★6 W・ハルゼーJr. Extreme ★7 W・ハルゼーJr. [部分編集] Hardの編成 敵戦力:24815 陣形:梯形陣 重油消費:30 時間・天候:昼・晴 敵構成 : 駆逐、潜水、空母、空母、空母、戦艦 敵旗艦技 : 全能力覚醒4(全能力 +10%) 敵戦艦戦技 : 艦隊の防壁、洋上ノ城、 技能 : 敵空母戦技 : 無数の戦力、速攻奇襲作戦、戦空の勇進、強襲連爆、爆龍の襲来 技能 : 爆撃機 210機 x3 敵駆逐戦技 : 昏海の雷鼓、強襲乱舞、 技能 : 敵潜水戦技 : 晴嵐ノ嵐、瀬戸の舞、海神の三叉戟 x2? 技能 : 未分類技能 : 火力上昇5、雷撃上昇5、装甲上昇5、戦技発動上昇3 VeryHardの編成 敵戦力:82716 陣形:梯形陣 重油消費:30 時間・天候:昼・晴 敵構成 : 駆逐、潜水、空母、空母、空母、戦艦 敵旗艦技 : 全能力覚醒4(全能力 +10%) 敵戦艦戦技 : 艦隊の防壁、洋上ノ城、帝国の霹靂 技能 : 敵空母戦技 : 無数の戦力、速攻奇襲作戦、ロイヤルプライド、戦空の勇進、不屈の龍爆、強襲連爆、爆龍の襲来、隼迅の空爆、緋炎の空爆 技能 : 爆撃機 210機 x3 敵駆逐戦技 : 昏海の雷鼓、強襲乱舞、 技能 : 敵潜水戦技 : 晴嵐ノ嵐、瀬戸の舞、海神の三叉戟 x2? 技能 : 未分類技能 : 火力上昇5、雷撃上昇5、装甲上昇5、戦技発動上昇3 Extremeの編成 敵戦力:118167 陣形:梯形陣 重油消費:30 時間・天候:昼・晴 敵構成 : 駆逐、潜水、空母、空母、空母、戦艦 敵旗艦技 : 全能力覚醒4(全能力 +10%) 敵戦艦戦技 : 艦隊の防壁、洋上ノ城、帝国の霹靂、無窮の大和魂 技能 : 敵空母戦技 : 無数の戦力、速攻奇襲作戦、ロイヤルプライド、戦空の勇進、不屈の龍爆、空爆の助勢、強襲連爆、爆龍の襲来、隼迅の空爆、緋炎の空爆 x2、シスター・サラ 技能 : 爆撃機 280機 x3 敵駆逐戦技 : 昏海の雷鼓、強襲乱舞、拡散する暁光、 技能 : 敵潜水戦技 : 晴嵐ノ嵐、瀬戸の舞、海神の三叉戟 x2? 技能 : 未分類技能 : 火力上昇5、雷撃上昇5、装甲上昇5、戦技発動上昇3 ↓コメント等 名前 奇襲で確実に3隻沈めてくるし潜水艦が潜水艦攻撃するしやりたい放題だなw - 名無しさん (2020-09-21 10 33 29) Extremeの攻略教えて - まる (2020-09-20 23 56 27) 奇襲は総索敵22,500くらいで対応できます。(艦隊索敵 10,791 x ( +30% x2(旗艦技) + 10%(輪形陣) + 42%(★6索敵パーツ x6)= 22,876 で不発、100%かは不明)当時と異なり対奇襲戦技も実装されていますので、所持しているのなら対応しやすくなっていると思います。敵の索敵が高いので索敵を下げる旗艦技なども効果が高いと思われます。また、それでも奇襲が避けられない場合、敵火力を下げる旗艦技なども試してみるのもいいかもしれません。潜水艦は速力こそ高いですが、装甲無視はしてこないので雷撃を下げたり装甲を上げることで耐えられるかと思います。また撃沈回避能力はないので、先駆戦技で潰してしまうことも可能です。敵は空母を編成していますが、制空能力はないので空母1でも入れて戦闘機1パーツでも配備すれば制空権は確保できるとおもいますが、シスターサラを搭載しているので空母を主力とすることは難しいと思います。速力は高く対空無視は使用してきますが、火力は上げてこないので火力を下げる戦技があれば、楯艦が抜かれる可能性はかなり低くなると思います。火力ダウンなしでも武蔵()なら士魂で回復しつつ耐えらることは可能でした。ともかく、まずは回避するにせよ耐えるにせよ奇襲対策を優先して編成することが必要だと思われます。(最悪、丁字有利ひくまでリトライ祭りをするという手もなくはないです) - 名無しさん (2020-09-21 20 25 29) 閲覧数 今日: - 昨日: - 合計: -
https://w.atwiki.jp/rsf-ffxiv/pages/164.html
概要 事前準備パーティ編成 装備 その他 技リスト・特徴アラガンワーク・バグ アラガンワーク・ナイト アラガンワーク・ソルジャー ドレッドノート ルークスピナー 攻略Wave1ジョブ別行動 Wave2倒す順番 ジョブ別行動 補足 Wave3ジョブ別行動 補足 Wave4ジョブ別行動 補足 Wave5ジョブ別行動 補足 Wave6倒す順番 タンクの受け持ち方 ジョブ別行動 補足 参考リンク 概要 円形のフィールドに次々と敵が落ちてくる 全6回のwaveを耐え、敵を倒しきれば勝利 全ジョブでスキル回しやバフのリキャスト管理が非常に重要なエリア 事前準備 パーティ編成 DPSが物理もしくは魔法のどちらかに偏っているとやや難化する 2:2のバランス型がベストか 装備 最低水準 武器:レリック↑ 防具:全身DL↑ アクセ:全てDLアクセ or ☆2HQに2禁断以上(アムダは2か所程度にとどめる、49生産HQは禁断してても無理) 推奨水準 武器:レリック+1 防具:全身DLに加えてアラガン・神話 アクセ:全DLに加えてアラガン・神話 (アムダは極力無い様にする。指輪などで神話が足りない場合は新式禁断で補填出来ていると尚良い) タンク、キャスター、ヒーラーは、4層以前の層でアラガンの頭などを取っている場合はステータスを比較検討して装備する (例:ヒーラーの場合DL頭胴よりアラガン頭+アムダ胴の方が良い) その他 タンクは最低限、敵の湧き場所を覚える DPSは最大火力を出せるように研究、かつアディショナルを揃える(猛者・静者や捨て身など) ヒーラーはこれまでに比べてヒール対象が増える場合があるので注意する 技リスト・特徴 アラガンワーク・バグ ドレッドノートに捕食される奴 リーチ 単体攻撃 アラガンワーク・ナイト 魔法ダメージを反射する(DoTフィールドやベインはダメージが入る) 物理攻撃で倒す(竜モ詩とタンク) ラウンドスイング 全周範囲 エレクトロマグネティズム 全周範囲 吸い込み ダメージ無し アラガンワーク・ソルジャー ストンスキンが付与された状態で出てくる ストンスキンを破壊するとオーバーヒート状態になり行動停止 魔法攻撃はストンスキンを無視して本体にダメージを与えるので魔法DPSで攻撃(黒召とヒーラー) ラウンドスイング 全周範囲 ドレッドノート {アラガンワーク・バグを捕食することで自身のHPを回復し、攻撃力をアップ この効果はスタックする 暗闇耐性持ち(フラッシュの補助効果が無効) ロトスワイプ 前方範囲 自己強化プログラム バグを食べて回復・強化 ルークスピナー グラビデカノン 単体攻撃 高速詠唱(一応)視線切りで回避可能 ポックスPox 最大HP減少視線切りで回避可能 攻略 Waveは1分経過、もしくは全敵の排除で進行 上手いこと攻略できたらもっと細かく書く Wave1 タンクが中央に集めて全員で倒す ここで苦戦したり死人が出ることはまず無い ジョブ別行動 タンクA:全部のタゲを取り、範囲を撃ちやすい様にまとめる その他:ひたすら範囲攻撃 学者は余裕があるならシャドウフレア撃っとくと仕事してる気分になれる Wave2 西と北のソルジャー&ナイトをそれぞれタンク一人ずつが持つ。 この時、W3でドレノが落ちてくる西側をMTが受け持つ。 敵の撃破も西優先が望ましいが、火力を集中させすぎると跳ねるのでヘイト量と相談しつつ火力と適度に分散。 倒す順番 よーわからんので後で詳しい人に聞きます。 基本的に物理がナイト、魔法がソルジャーを殴る。 ヘイト管理が厳しいので、一人のタンクが持つ敵を同時に殴らない、とか ソルジャーのストスキを剥がしてから別の敵を殴るとかいろいろある模様 ジョブ別行動 タンク W1終了前にヘイトコンボを3段階目まで進めておく。 W1終了直前にソルナイの落下地点へ移動し、ソルナイの出現と同時に即フラッシュ(ダメージ反射有)。 (事前打ち合わせで)DPSの攻撃が集中する方へハルオーネを撃ちこむ。 後は様子を見つつヘイトコンボをファスト&サベッジとハルオーネで別々の敵に撃ちこみ、ヘイトを散らしていく。 DPS 上記の「倒す順番」を参照。 静者があれば使う。 ヒーラー 普通にタンクをヒール。 敵出現直後はタゲが跳ねやすいので注意。 補足 W2終了直後にソルナイが1匹残っていることは割とある。 ソルが残っている場合はDoTやDoTフィールドを入れてタンクに任せる。 ナイが残っている場合は学者あたりの余剰戦力のシャドウフレアとタンクB(北側)さん頑張って! Wave3 バグを全て集めて中央でドレッドノートに食べさせる。 このとき(W3開始前)にタンクを除くPTメンバー全員が中央に集まっていると誘導が楽。 ドレノのタゲを取ったタンクが西からやや東に走り抜け、逆に中央にバグを集めたパーティメンバーが西へ向かう。 タンクと他のPTメンバーがすれ違う辺りでドレノから紫線が出てバグを捕食する。 ドレノの捕食行動は範囲が広く、攻撃よりも優先され、捕食中は攻撃行動をしないのでノーダメージで食わせることができる。 ジョブ別行動 タンクA(W2西側) ソルナイ撃破後はそのままの位置で待機し、ドレノ出現とともにタゲを取って中央を通って東へ走る。 他のPTメンバーがバグを集めているはずなので、そのまますれ違いバグを食べさせる。 バグ捕食後の立ち上がりが一番不安定なので注意。 タンクB(W2北側) W2のソルナイが残っている場合は処理を最優先。 処理後はひたすらドレノを殴る。 DPS 中央で全員待機し、バグを集める。(バグ集めを完全にヒーラーが対応する場合はこの限りではない) ナイトが西からドレノを持ってくるので、ビビらずドレノをすり抜けて背後(中央→西)へ。 後はひたすら殴る。 ヒーラー 中央で待機し、バグを集める。 ナイトが西からドレノを持ってくるので、ビビらずドレノをすり抜けて背後(中央→西)へ。 後はひたすら回復。隙を見てDoTを入れる。 バグ捕食後の立ち上がりが一番不安定なので注意。 補足 このWave3が4層の一つ目の壁。 ここでドレノを倒しきれないとWave4で詰む。 (Wave4のバグをドレノが吸収して回復・強化する) どうしても倒せない場合は装備やスキル回しをチェックする。 また、バグを食べさせる速度も重要。 メンバーの位置取りがバラバラで1匹だけ遅れて食べさせることになったりすると、HPを回復されドレノの処理が大きく遅れる。 Wave4 パーティメンバー全員で中央に集まる。 タンクがスピナーとバグのタゲを集め、中央に移動後、DPS陣が範囲WS・魔法で攻撃する。 この時、味方のDoTフィールド上にすべての敵が乗るように注意を払う。 特に遠隔やヒーラーはタゲが来ても中央から逃げない。 ジョブ別行動 タンクA(W2西側、W3東側) 東側のスピナーのタゲを取り、中央へ誘導。 ポックスを回避しつつ殴る。 W5でドレノを保持することになるので、早めにドレノの落下地点に移動しておく。 タンクB(W2北側、W3殴り) 西側のスピナーとすべてのバグのタゲを取り、中央へ誘導。 スピナーをメインターゲットに据え、ポックスを回避しつつ殴る。 必死に全体のタゲを取る。 DPS 中央で敵が集まってくるのを待つ。 集まったところで範囲攻撃。 範囲WSの合間に挟む単体WS(詩人のクイックノックの間に挟むレッターやブラントアローなど)はスピナーに撃ちこむ。 ヒーラー グラビデカノンが地味にダメージがあるので頑張る。 補足 ここでバグが残るとWave5以降で詰む(Wave5でドレノが降ってくる→バグ食べる→W6まで行けない) バグの殲滅が容易な様であればタンクA,Bの交代が可能タンクAがW3ドレノ→W4のタゲ全部→W5ドレノが可能になる防御Buff面で厳しいのでヒーラーの支援は必要 Wave5 ソル&ナイとドレノをそれぞれタンク一人ずつで受け持つ ソルジャー、ナイトを早めに処理し、ドレッドノートをできるだけ殴る ドレッドノートをWave5の時間内で倒しきるのは無理なのでWave6へ持ち越す ジョブ別行動 タンクA W4でバグの残HPを見て早めにドレノの落下地点に移動。 出現したら即タゲを取る。 ヘイトを稼ぎつつひたすら耐える。 タンクB ソルナイのタゲを取る。出現即フラッシュなどはW2と同じ。 DPS PT構成に応じて各個人が殴る敵が変わる。(ソル&ナイ>ドレノは変わらない) 物理多めの場合はいくらか物理陣がソルジャー削りを手伝うなど。 W6開始前にW6で担当する敵の出現場所へ移動できるようにしておく。 (スピナー、バグの誘導など) ヒーラー W2ぐらい楽。 隙を見てドレノにDoTを入れたりすると良い。 補足 上にも書いているとおり、ドレッドノートをWave5の時間内で倒しきるのは無理なのでWave6へ持ち越す。 W5→W6の移行に間が空くことがあるので、ドレノに出来るだけDoTを入れておく。 Wave6 倒す順番が複雑なので以下。 倒す順番 ルークスピナー(DPS数人がLB+αで即殺)> W5ドレノ > ソルジャー&ナイト >(バグx2)> W6ドレノ 理由とか 攻撃力が高くポックスが凶悪なのでスピナー最優先 その後タンクの負担軽減のためにドレノを先に倒す(ドレノの2持ちが多いため) W6ドレノは堅く、削るのに時間がかかるのでソルナイを先に (バグはドレノ担当タンクの負荷状況に応じて倒したり食わせたりする) W6ドレノを頑張る タンクの受け持ち方 パーティによって異なる。 以下は一例。 タンクA:W5ドレノ、W6ドレノ タンクB:ソルジャー、ナイト、バグx2 スピナー(DPS数人がLB+αで即殺)>W5ドレノ > ソルジャー&ナイト > (バグx2) > W6ドレノの順で倒す バグは、ソルナイを倒した後でW6ドレノに食べさせるパーティもある模様 スタック無しドレノとスタック2ドレノを同時に保持し続けるのは 装備とスキル回しがほぼ完壁なナイトでも厳しい そこで、最初はバグx2を食べさせずにソル&ナイと一緒にSTに保持してもらう W6ドレノ1匹になればスタック2でもヒールに多少の余裕ができるので W5ドレノを先に撃破し、その後でW6ドレノにバグを食べさせる(もしくは食べさせずにバグ2を先に倒す) バグ誘導の際に、誘導役がソルナイの範囲攻撃をもらう可能性が高いので注意 タンクA:W5ドレノ、W6ドレノ(バグx2食わせ) タンクB:ソルジャー、ナイト スピナー(DPS数人がLB+αで即殺)>W5ドレノ > ソルジャー&ナイト > W6ドレノの順で倒す うちはコレでやってる タンクAが十分に硬いときのみ可能 この場合は、タンクBの負担がW2の時と同等程度に軽くなるので ヒーラーの片方がタンクAを集中して回復、もう片方のヒーラーがタンクBの回復をしつつ隙を見てタンクAとDPSを回復する ヒーラーの腕にもよるが、防御Buffが切れた後のタンクAがじり貧になりがちで スピナーおよびW5ドレノの迅速な処理が求められる戦型 その他 理論上可能なタゲの持ち方とか タンクA:W5ドレノ、W6ドレノ(バグx1食わせ) タンクB:ソルジャー、ナイト、バグ 上記二種のハイブリッドタゲ分散。誘導が手間? 倒す順番は スピナー>W5ドレノ>ソルナイ>(バグ)>W6ドレノ どっちのタンクにも負担をかける形で微妙かな タンクA:W5ドレノ、ナイト タンクB:W6ドレノ(バグx2食わせ?)、ソルジャー 火力があるドレノの分散を狙った方式。誘導が複雑過ぎて現実的でない バグを保持する盾が居ないので食わせる必要がある 倒す順番は スピナー>ソル>W5ドレノ>ナイト>W6ドレノ かな? ソルを先に倒すのは(というかタンクBにソルを持たせるのは)タンクBの負担を早期に軽減するため ジョブ別行動 タンクA W5ドレノの出現地点のままでいればその真横にW6ドレノが出現する。 ヘイトを取りつつHPが大きく減った時点でインビンシブル。 その後にセンチネルやランパートなどを使用して計40秒ほどの時間を稼ぐ。 防御Buffが切れた後、回復が間に合う内にDPSがW5ドレノを倒してくれることを祈る。 片方のドレノが倒せれば、その後苦しむことはない。 他の処理が終わるまでW6ドレノを保持し続ける。 タンクB ソルナイ(とバグ)のタゲを取る。ソルナイ出現即フラッシュなどはW2と同じ。 DPSがダメージを受ける場面が多くなり、ヒールが飛んできにくくなるが焦らないこと。 タンクAのインビンシブル終了に合わせてインビンシブルを撃つとヒーラーが楽になる(らしい)。 DPS(ルークスピナー担当) 近接DPS(LB要員)+他DPS一人のことが多い。 ポックスを回避し、ポックス詠唱中にLBを撃ちこむ。 キャスター二人の場合は片方がおとりになっている間にメテオ詠唱が有力か。 スピナーを倒したら即W5ドレノへの攻撃に移行。 その後にソルナイを倒してW6ドレノへ。 DPS(バグ誘導担当) 移動しながら攻撃できる(=ヘイトを稼げる)詩人やコラプスを持つ黒が担当することが多い。 ヒーラーのヘイトに負けない様に即タゲ取り、W6ドレノもしくはタンクBのところへ。 誘導したらルークスピナーの排除を手伝う。 終わったらW5ドレノ>ソル&ナイ(+バグ)>W6ドレノ ヒーラー ここでは担当するタンクを決めておいた方が良さげ。 ヒーラーは何があっても担当タンクを落とさない。 バグ食わせでやる場合のタンクA(ドレノ*2受持)担当は インビン、センチネル終了後はHPが4000弱ある状態から一瞬でタンクが沈むので特に注意。 インビン、センチネル終了に合わせてW6ドレノにウィルスを撃ったり、やや早めにアイフォーアイを使うと良い。 ヒールヘイトの関係でバグ誘導を担当することもある。 補足 W6突入から1分経過でフィールド全体に一定時間(3秒ぐらい?)毎に1000程度のダメージが発生する。 参考リンク MMORPGを遊ぶ。 【FFXIV】 大迷宮バハムート 邂逅編 四層 クリア動画 http //vivistr.blogspot.jp/2013/09/ffxiv_28.html 大迷宮バハムート 4層クリア! - FF14 攻略 ブログ ラブリーマイエンジェル うんぴたん http //unpiworld.blog.fc2.com/blog-entry-54.html FINAL FANTASY XIV, The Lodestone|Chloe Bell 日記「バハムート 邂逅編 4層 攻略」 http //jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/1675114/blog/356897/ 【図解】 大迷宮バハムート 4層の、各ウェーブ毎の敵の出現位置 #FF14 - 雨の音が好き http //d.hatena.ne.jp/nowshika/20131010/1381398455 PPのブログ 大迷宮バハムート 邂逅編4 攻略解説 改訂版 http //pane0201.blog.fc2.com/blog-entry-476.html#476 これらのサイトと自分のプレイを録画したものを重ね合わせて攻略を書いています。
https://w.atwiki.jp/f_go/pages/3897.html
最後のセリフの後にもどちらかの感情が書かれそうでいい - 名無しさん (2019-02-06 01 52 41)
https://w.atwiki.jp/new2souennokanntai/pages/466.html
トップページ イベント攻略 [部分編集] 報酬 勝利回数 1 Hard ★5 M・リヒトホーフェン VeryHard ★6 M・リヒトホーフェン Extreme ★7 M・リヒトホーフェン [部分編集] Hardの編成 敵戦力:26124 陣形:梯形陣 重油消費:30 時間・天候:夜・雨 敵構成 : 戦艦、駆逐、駆逐、駆逐、軽巡、潜水 敵旗艦技 : 全性能覚醒4(全能力 +10%) 敵戦艦戦技 : 武剛の防壁、流麗なる巡洋、洋上ノ城、 技能 : 敵軽巡戦技 : 身封じの雷幕、オルレアンの乙女、白雪ノ銀弾、 技能 : 敵駆逐戦技 : 幸運の風 x3、水雷戦ノ鬼 x2、二水戦の旗風、閃雷の迎撃 技能 : 回避率強化 x3~ 敵潜水戦技 : 晴嵐ノ嵐、雷兵の術中、 技能 : 未分類技能 : 雷撃上昇5、回避率強化5 VeryHardの編成 敵戦力:87087 陣形:梯形陣 重油消費:30 時間・天候:夜・雨 敵構成 : 戦艦、駆逐、駆逐、駆逐、軽巡、潜水 敵旗艦技 : 全性能覚醒4(全能力 +10%) 敵戦艦戦技 : 武剛の防壁、流麗なる巡洋、洋上ノ城、 技能 : 敵軽巡戦技 : 身封じの雷幕、オルレアンの乙女、白雪ノ銀弾、 技能 : 敵駆逐戦技 : 幸運の風 x3、水雷戦ノ鬼 x2、二水戦の旗風、閃雷の迎撃 技能 : 敵潜水戦技 : 晴嵐ノ嵐、雷兵の術中、 技能 : 未分類技能 : 雷撃上昇5、回避率強化5 Extremeの編成 敵戦力:124398 陣形:梯形陣 重油消費:30 時間・天候:夜・雨 敵構成 : 戦艦、駆逐、駆逐、駆逐、軽巡、潜水 敵旗艦技 : 全性能覚醒4(全能力 +10%) 敵戦艦戦技 : 武剛の防壁、流麗なる巡洋、洋上ノ城、桑仙樹の護り 技能 : 敵軽巡戦技 : 身封じの雷幕、オルレアンの乙女、白雪ノ銀弾、鈍足狩りの矢 技能 : 敵駆逐戦技 : 幸運の風 x3、水雷戦ノ鬼 x2、二水戦の旗風、鱗雲の雷撃 x2、閃雷の迎撃 技能 : 敵潜水戦技 : 晴嵐ノ嵐、雷兵の術中、 技能 : 未分類技能 : 雷撃上昇5、回避率強化5 ↓コメント等 名前 閲覧数 今日: - 昨日: - 合計: -
https://w.atwiki.jp/16seiten/pages/780.html
遠い夏のある日・・・・・ 「ショウちゃんショウちゃん」 ショウちゃんと呼ばれた子は手招く先を眺めた。 熱く焼けたアスファルトの上をアリが列をなして 進んでいるのを、二人しゃかんでじっと眺める。 「見てろよ」 親友はポケットから紙片を取り出しアリの行軍 にかざすとその内の一匹の背中に、みるみる 羽が生えだしたではないか。 しかも蜻蛉のような透き通った羽ではない、 鳩のような羽毛の生えた、真っ白な羽が。 「すげぇ!!」 「誰にも言うなよ、俺とショウちゃんだけの秘密だぜ」 −現在・・・・・ 「ショウちゃん、アタシに協力して欲しいの」 エースのかつてない穏やかな表情だった。 「何いってやがる、俺達は・・・・」 「十六聖天?十大聖天?あなたの能力はそんな枠の中で 納まるモノじゃないのよ?」 「買いかぶりすぎだ」「いいえ」 「トムの旦那や西園寺サンが黙っちゃいないぜ」 「サトージロー・・・・でしたっけ」 ギデオンが絶句した。 「ただの人間のクセに、日本刀一本で貴方のすぐ上の 地位に落ち着いちゃうんだもの、堪らないわよねぇ、 貴方が自分の能力でどれだけ苦しんできたかも知らずに」 「黙れッ!!」ギデオンの眉間に怒りが刻まれたが、 「・・・・・・・仲間は仲間さ、裏切れねぇよ」 すぐに余裕を取り戻した。 「そう、本当に強くなったのね、弱い心を寄せられた 信頼で鎧って、力が水増しした気になっているのね」 頬を、熱風が撫でる。 「でも、貴方の本当の強さは、そんなものじゃないのよ」 おおきなくりの木の下園に火の手が上がった。 「・・・・そんなっ・・・テメェ何をっ・・・」 普通の出火ではない、軒と言わず柱と言わず、 全てが一斉に燃えた。栗の木も燃えた。 庭にいたこども達や縁側に座っていた園長は ひとたまりもない。 「テメエェェェ!!何してやがるッッ!!!!」 振り向きざまに駆けだしたギデオンの手に、 エースの腕が絡みつく。 「離せよッ!!こんな事・・・どうしてッ!!」 消し炭になった柱が屋根を支えきれずにグシャリと 潰れた。栗の木もメキメキと音を立てて倒れた。 「今から面白いモノが見れるわ」 紅蓮の炎に包まれもはや手遅れに思われたが 突然、炎が今までそこに何も無かったかのように 掻き消えた。急速に大気が熱を冷ます。 真っ黒な消し炭のみが残された場所からまっさらな 柱が飛び出し、さらに白骨が立ち上がった。 まるでテープの巻き戻しのように土台が敷かれ、 材木が組みあがり、壁が、軒が、屋根が出来上がる。 白骨からは肉汁が染み出し、何重にも皮膚が重なり 裸の人間が現れた。髪が生え揃い衣服が再生されると 小さな白骨はこどもに、腰の曲がった白骨は老婆に なった。 「何が・・・・起こってるんだ・・・・」 「違うわ、貴方が起こしてるのよ」 全てが再生されていた。 こども達は毬のように駆け回り、縁側には 木下園長が座っている。業火によって奪われた はずの和やかな風景が、そこにある。 「てめぇ・・・・何をしたんだ」 「だから、貴方がやっているのよ、貴方が 蘇らせたの、あれは貴方の被造物ですもの」 「!?」 ギデオンの奥の奥の方からドス黒い何かが沸き上がり、 とぐろを巻いて脳裏を覆い尽くした。吐き気を催した。 「父も無く、母も無く、天外孤独の貴方が自らを育てる 為に生みだした美しい記憶、自らが、無邪気なこども であるかのように振る舞うための舞台装置よ」 「違う」 「貴方の力は平行世界を渡る力?違うわ、貴方の力は 平行世界を『創る』力、神の力の一欠け・・・」 「違う」 「貴方が望めばどんなものも手に入る、なのに貴方は その力を使うことを恐れた、どうして?自分自身が 造り上げたものを愛することは自分自身を愛するという こと、自分の造り上げた世界に生きるということは 自分が自分を慰めることの繰り返しと同じよ!!」 「違う」 「人間の弱い心では『神の孤独』には耐えることができなかった、 だからあらゆる事を求めた、女を抱き、快楽を貪っても、 貴方の孤独を埋め合わせられるものではなかったわ、貴方は 人間ではないから」 「違う、違う、違う、違う」 「種が違うのよ!神と人の間に子供が出来るわけ ないもの!!子を宿し、育み、家族というコミュニティ の中で平々凡々の暮らしを渇望する貴方が創りだした のが、こんなおばあちゃんとガキの群れなんて、 お笑いぐさだわッ!しかも自らを騙し通してきたなんて」 「違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!!」 ギデオンは膝を折って嘆いた。憎悪と、羞恥と、 憤怒とがゴチャ混ぜになり、絶望の色を為した。 「自覚なさい、アタシ達は神の雛形、造物主の デッドコピー・・・・貴方の孤独を理解できる のはアタシだけなのよ・・・・・アタシと貴方が 組めば、小生意気なジークフリードも、小便臭い小娘も、 貴方んとこのトム野郎だって出し抜くことができるの」 「違うぅ・・・・違うんだぁぁ・・・・違う・・・違う・・・」 地に崩れ落ちたギデオンを視線で哀れみ、 「待ってるわ、ショウちゃん」エースはその場から去った。 こども達は笑みを浮かべて栗を拾い続けている。 −後日 「聞いたのか」「ハイ・・・・・」 本部の応接室、美しい木目のテーブルを挟んで ナナエルとギデオンが膝をつき合わせていた。 はめ殺しの大きなガラス窓があり、庭で次郎とアリス、 徳間がバドミントンをしているのが見える。 「カイザー兄さんに?」「・・・・ハイ・・・・」 ナナエルは、カイザーがギデオンとエースの問答を 遠く監視していた事を告げた。 死んでも見られたくないギデオンの醜態だった。 ギデオンは小さく舌打ちする。 「お兄様は非道いです、薄情ですよッ・・・どうして ギデオンさんを助けなかったのか・・・」 「そりゃあ違うよナナちゃん、お勤めだもの、 もし俺とカマ野郎が本当に通じていたら、兄さんは ヤツもろとも俺を討にゃならん」 「そっ、そんなつもりじゃ・・・」 ナナエルは目を伏せた。西園寺の乱があったように、 十六聖天も一枚岩ではない。個々の力が強大であるが 故に彼らを縛る『掟』は絶対だった。 「まっそーゆーことよナナちゃん!俺は甘々のオナニー 野郎で、ケツ舐められて泣く泣く帰ってきたっつーこと! 話は終わりッ!!」 勢い良く長椅子から立ち上がりギデオンはドアノブに 手をかけた。 「そうやって、おちゃらけたフリして逃げるんですか」 ギデオンの手が止まる。 「・・・・・・・てめぇに何がわかるんだ」 声に怒気があった。「わかりませんよ、全然」 「だったら変なお節介焼くんじゃねぇよ!! オマエらに何ができる!!俺は何だってできるんだ!! 今更オマエらができることなんて何も無えんだよ!!」 「ありますよ!!」 ナナエルはギデオンを抱き留めた。 「全然わかんないですよ!ギデオンさんの苦しみ なんて!!でもお節介焼かせて下さいよ!私たち 仲間じゃないですか!!」 涙声だった。体が小さく震えている。 「私はお兄様みたいに強くないし、おちこぼれだし・・・ 何にも出来ないかもしれないけど、ギデオンさんの 話聞くぐらいできますよ、話してくれなきゃ 本当に・・・・わかんないじゃないですか・・・」 ギデオンはその場に崩れ落ちた。 「・・・・・おっぱいあったけぇ・・・・・」 ナナエルの顔が真っ赤になる。 「・・・・・・泣いていいか・・・・」 「・・・・・ハイ」 ナナエルの胸の中で、ギデオンは静かに泣いた。 「木下・・・・・女を泣かせちゃあイカン」 次郎とアリスが、バドミントンそっちのけで 二人を見守っていた。徳間は武士の情けで 目を伏せていた。 邂逅 ギデオン・トリプルプレイ・グランドスラム 完
https://w.atwiki.jp/atremy/pages/15.html
サムネ 概要 2023年8月30日に投稿された架空デュエル動画。 あらすじ デュエルモンスターズが当たり前の幻想郷。 働き詰めなニワタリ神・庭渡久侘歌は長期休暇を貰い、山女郎・駒草山如が経営する賭場に偶然訪れる。 そこで久侘歌は、惨憺たる扱いを受ける名無しの妖怪と運命的な出会いを果たす。 「しかしあんな事を聞かされては……そう、仕方がないのです」 関連リンク ニコニコ YouTube